配分額 *注記 |
10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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研究概要 |
ケイ素ラジカルおよびケイ素中心開殻化学種の安定化、合成・単離、結晶構造について、以下の知見を得た。 1)トリス(トリイソプロピルシリル)シリルラジカルが、トリス(トリイソプロピルシリル)シリルブロモシラのアルカリ金属による還元で結晶として合成した。また、このラジカルのX線結晶構造解析に成功した。さらに、合成反応が、アルゴン雰囲気のもとグローブボックス中でも円滑に進行することを見いだした。 2)trans-1,2,2,3,4,4-ヘキサ-tert-ブチル-1,3-シクロテトラシラン(1)をN-ブロモスクシンイミド(NBS)で臭素化し、trans-1,3-ジブロモ-1,2,2,3,4,4-ヘキサ-tert-ブチルシクロテトラシラン(2)を得た。次いで、2を、ベンゼン中、過剰量のカリウムと反応させ、環状ポリシリルアニオンとして、(trans-1,2,2,3,4,4-ヘキサ-tert-ブチル-1,3-シクロテトラシランジイル)ジカリウム(3)を得た。3の結晶構造は、X線結晶解析によって決定した。 3)ジブロモテトラシラン2をジカリウム体3に還元する際、条件を選ぶと、(trans-1,2,2,3,4,4-ヘキサ-tert-ブチル-1,3-シクロテトラシランジイル)ビラジカル(4)が生成し、このものが結晶として単離できることが判明した。この結果は、結晶として単離可能なシリルビラジカルの生成に関する最初の例である。 以上から、安定なシリルモノラジカルの簡易な合成方法を開拓することできた。また、安定なシリルビラジカルを結晶として単離することが可能となった。したがって、本研究を実施した結果、ケイ素中心多重スピン系分子の設計と展開について、重要な指針を得ることができた。
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