研究概要 |
本研究の初年度である昨年に,我々は、より中心元素と両側の配位子の相互作用が強くなることを期待し、7員環を2つ縮環した新規3座配位子を初めて合成することができたが,配位原子が酸素であったことから,エノールエーテル部分が不安定で,中心に炭素原子を導入することはできなかった。本年度は,この臭素化物をn-BuLiによりリチオ化した後、種々のベンゾフェノンと反応させることで、中心に炭素原子を導入することができた。この付加体であるアルコールを,トリチルカチオンで処理することにより,中心炭素から水酸基を引き抜くことができた。生成したカチオンは,各種NMRおよびエックス線解析によって構造を決定した。中心炭素の置換基によって4配位か5配位かが決まっていることがわかった。また,van Koten型酸素配位子を新たに合成し,5配位炭素アニオンの合成を目指した。新規配位子の合成には成功したが,まだアニオン系の5配位の合成には成功していない。
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