配分額 *注記 |
17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
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研究概要 |
光学活性な4-メチルシクロヘキシリデンメチルヨードニウム塩の加溶媒分解においては,第一級ビニルカチオンを経ず,立体化学純度を保って転位シクロヘプテニルカチオンを中間体とする生成物を与えることを明らかにしている。この反応はヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP),イオン性液体,濃厚な塩を含む溶液等でも同様であった。しかし,光加溶媒分解中には第一級ビニルカチオンを生成してラセミ化した生成物を与えることが明らかになった。このヨードニウム塩をHFIP中で塩基存在下に熱反応させた場合にも,ラセミ化した転位置換生成物が得られた。この反応は,転位カチオンから対称なシクロヘプチンを生成する脱離付加機構で進行していることがわかった。また,スチリルヨードニウム塩の熱反応では,β-フェニル基が関与してエチレンベンゼニウムイオンを中間体とする反応が進行するのに対して,光化学反応においてはそのような関与を経ないで第一級ビニルカチオンを中間体として反応する。この反応系をナノ秒レーザー光分解によって調べ,第一級カチオンからベンゼニウムイオン中間体の生成を追跡したが,この時間領域では観測できなかった。 1位にキラルな側鎖を有するナフタレン誘導体とオルトクロラニルとの光誘起付加反応は面選択的に進行する。この反応溶液をレーザー光照射(355nm)することによりナフタレン誘導体のカチオンラジカルの吸収が観測された。また,ナフタレン誘導体のHFIP溶液にFe(III)塩を添加してナフタレン誘導体のカチオンラジカルを生成したところ,その吸収波長領域に円二色性スペクトルが観測された。このことは,ナフタレンカチオンラジカルがキラル側鎖と相互作用していることを示し,この相互作用が付加の面選択性を誘起しているものと結論された。さらに,類似のナフタレン誘導体と一重項酸素の反応から光学活性なヒドロペルオキシドを合成する反応をみつけた。
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