研究課題/領域番号 |
14340210
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
小寺 政人 同志社大学, 工学部, 教授 (00183806)
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研究分担者 |
加納 航治 同志社大学, 工学部, 教授 (60038031)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2002年度: 9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
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キーワード | メタンモノオキシゲナーゼ(sMMO) / 新規二核化配位子6-HPA / アルケンの触媒的酸化反応 / パーオキソ二核鉄錯体 / CSI MSスペクトル / ジオキソ-μ-オキソ鉄(IV)錯体 / 高効率高選択的エポキシ化 / 高機能性sMMOモデル / 酸素運搬機能 / 二核銅錯体 / 高機能性ヘモシアニンモデル / ヘキサピリジン配位子 / O_2 / COサイクル / 可逆的酸素吸着 / トリピリジン配位子 / 基質結合部位を持つ多核金属錯体 / リン酸エステル加水分解 |
研究概要 |
TPAを2つもつ新規二核化配位子6-HPAを合成した。6-HPAは二核鉄錯体1を生成した。TPAの錯体はH_2O_2のよるアルケンの触媒的酸化反応に際してエポキシドと1,2-cis-diolを生成し、後者が主生成物である。一方、1は同様の反応でエポキシドを優先的に与え、1,2-cis-diolは生成しなかった。錯体1がアルケンを優先的にエポキシ化するのは、6-HPAによって二核構造が安定化されており、sMMOタイプの二核構造をもつ活性種が生成しやすいためと考えられる。しかし、6-HPAの錯体でもオキソ架橋を持たない二核鉄(II)錯体[Fe_2(6-HPA)](CF_3SO_3)_4(3)を用いると、エポキシドが減少して1,2-cis-diolが増加した。これは、オキソ架橋がsMMOタイプの活性種に不可欠である事を示唆している。-40℃で1にH_2O_2を加えると緑色の錯体4が生じた。4は6-Me_3-TPAのパーオキソ錯体5とよく似た電子スペクトルを与えた。錯体4のCSI MSスペクトルは、m/z 865に{[Fe_2(O)(O_2)(6-HPA)](ClO_4)}^+の質量に相当するmain peakを示し、その同位体パターンは計算値と一致した。さらに、H_2^<18>O_2を用いた場合は、質量数4だけシフトした。4はエポキシ化反応の中間体であり、パーオキソ二核鉄(III)錯体[Fe_2(O)(O_2)(6-HPA)](ClO_4)_2であると考えられる。エポキシドの^<18>O-ラベル実験から、1に10当量のH_2^<18>O_2を加えた場合は^<18>O-ラベルのエポキシドは94%の割合で生成した。また、1の架橋オキソをラベルした^<18>O-1を用いて、1または3当量のH_2^<16>O_2を加えた場合には^<18>O-エポキシドはそれぞれ33、17%であった。これらの結果は、反応中間体4のオキソとパーオキソの3つのO原子が全く等価にエポキシドに取り込まれている事を示している。従って、4から生じる反応活性種では、3つのO原子はscrambling出来る構造を持つと考えられる。可能な反応活性種としては4のO-O結合がhomolyticに開裂したジオキソ-μ-オキソ鉄(IV)錯体[Fe_2(O)_2(μ-O)(6-HPA)]^<2+>が考えられ、この3つのオキソ酸素が相互に交換可能である事が示唆される。以上のことから、6-HPAが二核構造を安定化することによって、その二核鉄錯体は高効率高選択的エポキシ化を実現するだけでなく、sMMOのO_2活性化機構の解明に有効な高機能性sMMOモデルとなる事が示された。
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