研究概要 |
フォトクロミック化合物であるジアリールエテンの開環体と閉環体の構造変換を利用して、光照射でゲスト分子を可逆的に取り込むことできる多孔性フォトクロミック金属錯体を合成することが本研究の目的である。 (1)多孔性フォトクロミック金属錯体の合成とゲスト分子の取り込み.2,3-bis(2,4,5-trimethyl-3-thienyl)maleimide(bttm)を有する多孔性金属錯体[Ag(bttm)(CF_3COO)](1)と[Ag(closed-bttm)(CF_3COO)](2)を合成した。1及び2は、それぞれ、7.0×7.9A、7.5×7.6Aのチャンネルを有する興味ある化合物である。錯体1は0.4分子のpentaneを取り込み、120℃に加熱することでpentaneの約75%が脱離することがわかった。一方、錯体2の結晶はpentaneの1.9分子を取り込み、このpentaneは130℃で完全に脱離するとともに、500nmの光照射で閉環体から開環体に変化することを見出した。これにより、光照射でゲスト分子を脱離するという複合機能を有する錯体の構築に成功した。 (2)新規多孔性フォトクロミック金属錯体の合成,新規光応答金属錯体を構築するために、金属に配位しやすいピリジン環を有するジアリールエテン誘導体、1,2-bis(2'-methyl-5'-(4"-pyridyl)-3'-thienyl)perflubrocyclopentene(BM-4-PTP)と1,2-bis(3-methyl-5'-(2"-pyridyl)-2'-thienyl)perfluorccyclopentene(BM-2-PTP)、そしてこれらの金属錯体[Cu(BM-4-PTP)_2(CF_3COO)_2]・2H_2O・2THFと[Ag_2(BM-2-PTP)(CF_3COO)_2](C_6H_6)、の合成に成功した。この錯体は固体状態で可逆的にフォトクロミズムを示すことを明らかにした。
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