研究課題/領域番号 |
14340212
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
藤井 浩 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 助教授 (80228957)
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研究分担者 |
倉橋 拓也 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (90353432)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2003年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 11,200千円 (直接経費: 11,200千円)
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キーワード | 生物無機化学 / 酸素活性化 / 非ヘム酵素 / 高原子価状態 / 酸化反応 / 反応中間体 / サレン錯体 / 酵素活性化 / サレン |
研究概要 |
生体には鉄イオンを活性中心にもつ非ヘム酵素が数多く存在し、生命活動を支えている。これらの酵素の中で酸素分子を活性化して酸化反応を行う酵素は、その反応中に高酸化状態の反応中間体を生成すると考えられている。さまざまな研究の結果、この反応中間体は鉄5価オキソ錯体あるいは、鉄4価オキソ錯体であると考えられている。しかしこれまで多くの研究が行われてきたにもかかわらず、鉄5価オキソ錯体や鉄4価オキソ錯体を単離した報告はなく、またモデル錯体の合成例もなかった。我々は、高原子価状態を安定化する配位子としてサレン配位子に着目して、酵素反応中間体としての高原子価鉄オキソ錯体の合成、およびその反応性の解明をめざした。5配位型鉄3価アクア錯体、ヒドロキシ錯体をサレンから初めて合成することができた。これらの錯体の構造を解析した結果、サレン配位子ではこれまでに報告のない三角両錐構造をとることがわかった。この構造は、カテコールを酸化する酵素の活性中心と類似することもわかった。また、この三角両錐構造はアクア配位子の電子的効果による構造変化であることが明らかとなった。さらに、この新規サレン配位子を用いて、鉄錯体の合成を行った。この錯体を低温中酸化することにより、緑色の反応中間体を生成することに成功した。この中間体は、酵素反応中間体モデルになる可能性を示した。そこで、この緑色中間体の電子状態をEPR、NMR、メスバウアーなどの分光法を用いて検討した。その結果、配位子が可逆的に酸化された鉄3価フェノキシラジカル錯体であることが明らかとなった。これまで、鉄錯体の酸化において配位子が酸化される例は数少なく、今回の錯体は興味深い。また今回の結果は、酵素反応中間体を検討する上で、配位環境の重要性を示すものと考える。
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