配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2002年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
|
研究概要 |
葉フェノロジーの種による違いを植物の適応戦略としてとらえ,これに群落光合成理論を適用して葉フェノロジーの適応性の評価を行うこと,また葉は光や温度などの環境変化に対してどのように応答しているのかを明らかにすることを目的に研究を行った. (1)群落光合成モデルに葉の生産と枯死という動的要因を導入し,新しい葉群動態モデルを提案した.このモデルを用いて環境要因と種に特有な葉の特性が葉群構造にどのような影響を与えるかを予測した.(2)生育期間を通じて葉をつぎつぎに展開するワラビを用いて,葉の寿命と構成コスト,光合成能力の関係を調べ,光合成速度あたりの構成コストは葉の寿命と正の相関があることから,寿命の短い葉も構成コストを十分償還している.(3)寿命の異なる常緑性,落葉性のコナラ属4種で窒素利用を比較した.窒素利用効率,光合成系への窒素投資率はともに落葉種で高かった.光合成と細胞壁の間に窒素投資のトレードオフがあることを示唆した.(4)富栄養,貧栄養でオオオナモミ群落を育成し,個々の葉の展開から枯死までを追跡調査し,葉寿命を決める要因を解析した.葉面積の脱落速度は新しい葉の成長にともなう葉からの窒素の転流速度に比例して増加することを示した.(5)ブナ林における林冠種と下層種の葉の枯死時の窒素回収効率を比較した.回収効率はすべて70%前後で光条件,種にはあまり依存しなかった.しかしブナでは成木に比べ稚樹の回収効率が低かった.(6)ギャップ,落葉樹林,針葉樹林下に生育する林床常緑低木アオキを用い,葉の季節的な光合成タンパク質組成変化に対する光と温度の栄養を解析した.全体としては光の影響が大きいが,各場所ごとに解析すると温度の影響が大きかった.(7)その他の成果については別冊の報告書を参照されたい.
|