研究課題/領域番号 |
14340244
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮竹 貴久 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (80332790)
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研究分担者 |
谷村 禎一 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20142010)
松本 顕 九州大学, 高等教育センター, 助手 (40229539)
久場 洋之 沖縄県農業試験場, 室長
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | 種分化 / 生殖隔離 / 時計遺伝子 / period遺伝子 / ウリミバエ / doubletime / アロクロニック / 昆虫 / 塩基配列 / PERIODタンパク質 / doubletime遺伝子 / 転写開始領域 / クイーンスランドミバエ / 交尾行動 / period / 概日周期 / 体内時計 / 交尾前生殖隔離 / per遺伝子 / 分子生物学 / PCR |
研究概要 |
ウリミバエでは、交尾時刻において著しい種内変異があり、交尾開始時刻が5時間異なる同種内の系統間では有意な生殖隔離が生じた。この交尾時刻は概日リズムによって支配されると考えられる。時計タンパク質PERIODをコードするperiod遺伝子mRNAの発現周期が系統間で大きく異なるため、ウリミバエの交尾時刻変異にはperiod遺伝子群の関与が考えられた。そこでウリミバエの時計遺伝子period(per)及びdoubletime(dbt)の塩基配列を決定し、交尾時刻の異なるショート(S)系統とロング(L)系統間の比較を行った。dbt遺伝子がコードするキナーゼDBTは、ヒトのカゼインキナーゼIεの相同分子であり、ショウジョウバエの概日時計機構においてPERをリン酸化し、細胞質内のPERの蓄積を調節する。ウリミバエdbtcDNAの翻訳領域は1320b、コードしているキナーゼDBTの推定アミノ酸配列は440アミノ酸であり、ATP結合領域と触媒領域の配列は系統間で一致した。ショウジョウバエのDBTとは、84%の高い相同性を示した。3'非翻訳領域には数塩基の違いが検出されたが、転写に影響する変異とは考えにくかった。S系統とL系統で安定して異なるアミノ酸が1カ所あり、53番目のアミノ酸がS系統ではセリン、L系統ではロイシンに変化していた。この違いがS系統とL系統の概日リズムの違い、そして交尾開始時刻の違いに関与している可能性が示唆された。今後、キイロショウジョウバエのdoubletime欠失突然変異を用いて、このアミノ酸配列に着目したレスキュー実験を行うことで、交尾時刻を介した生殖隔離(種分化)に関与する遺伝子の特定が可能になる。一方、per遺伝子cDNAの翻訳領域は、S系統、L系統ともに3102b, PERタンパク質の推定アミノ酸配列は1034アミノ酸であり、機能性ドメインであるPAS領域PAS-A(アミノ酸193-242)、PAS-B(343-395)、核移行NLS(72-76)、細胞質局在ドメインCLD(398-457)は系統間で一致していた。S系統とL系統で異なるアミノ酸は3カ所あったが、PERタンパク質の機能に影響する変異とは考えにくい。スレオニン-グリシン反復配列についても多型は検出されなかった。cDANの3'非翻訳領域には系統間で大きな違いはなかったが、5'非翻訳領域ではスプライシングのバリアントが検出され、このバリアントと概日リズムの違いについて今後調べる必要がある。以上の結果と国内外での時計遺伝子と生殖隔離の関係についての報告事例をレビューし、アロクロニックな生殖隔離と生物の測時機構との関連についてのレビューを行った。
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