配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2004年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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研究概要 |
ペプシノゲンには5種類の成分があり、哺乳類では食性の多様化とともに各成分の発現も異なっている。これらはA, B, C, F, Yと呼ばれる。ペプシノゲンは胃内でペプシンに変換され強いタンパク質分解活性を示す。本研究では、各ペプシンのタンパク質分解の特異性を中心に解析した。 ペプシンAは切断部位の両側のアミノ酸、すなわちP1,P‘1のアミノ酸は疎水性か芳香族の側鎖を持つものであった。ペプシンYはP‘1のアミノ酸が極性あるいは解離基をもつものでありAと大きく異なっていた。ペプシンCはAに似るが、P'1にアラニン、バリンなど側鎖の小さなものしか受け付けなかった。ペプシンBはこれらのいずれとも異なりP2のアミノ酸がグリシンのものを特異的に切断した。これらの結果はP‘1のアミノ酸が特異性を決めるのに大きく関与していることを示している。 ペプシンAとYについて立体構造からP‘1をうけいれるペプシン側の部位、すなわちS'1について比較を進めたところ、共通的な配列と成分固有の配列があることが明らかとなった。共通配列はいずれも疎水性あるいは芳香族側鎖をもっていたが、固有のものはAが疎水性Yが親水性と大きく異なっておりこの違いがタンパク質分解の特異性を生じていると推測された。 この仮説に基づき、ペプシンAとYのS‘1の違いについてさらに検討を進めるため部位突然変異をおこない、ペプシンAで、Met289asp, Leu291Ser, Leu298Gln,ペプシンYでAsp289met, Gln298Leuの変異体を作製した。そのため、酵母でのタンパク質発現系を確立した。得られた変異ペプシノゲンについてそれぞれの基質特異性を調べたところ、これらのアミノ酸が特異性に関与していることが明らかとなった。
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