研究概要 |
水溶性透明結晶(例えばKDP結晶)の高速育成法を確立し,結晶育成の制御性を確保するため過飽和度の計測と制御による結晶自動育成法を完成した。水溶性結晶の高速育成技術によって,育成速度は従来の1-2mm/日から50mm/日(6μm/10秒)に向上した.これは溶液中での結晶核生成を制御することにより達成され、10cm級の結晶を2-3日で育成できた。 高速育成法における金属イオン(例えば除去困難の不純物,鉄イオンなど)の選択的な高濃度取込みを検討し,育成速度の時間的制御法を用いて金属ドーパントの縞構造分布を製作した。高濃度不純物を混入した溶液での結晶構造は針状となるので限界があることを示した。 数ミクロンオーダーでの金属イオンの2次元的(層状)分布ドープを実現し,光学物性パラメーターを利用する光学素子としての機能性を持たせる可能性を検討した。透過型もしくは反射型回折格子の回折効率、位相制御依存性、波長不整合の回折効率への影響をまとめた。 イオン濃度に起因する縞構造の屈折率変化を用いて回折効果を実際に測定し,結晶内の層構造を推測し、回折効率を計測した。効率的回折を実現するには10^<-4>〜10^<-5>程度の屈折率変化が必要なことを示した。 レーザー耐力を向上させるため、KDP結晶の熱ショックパラメーターを計測し、高平均エネルギーが入射する際の熱破壊限界を計測した。 以上によって,高耐力で高能率な透過型回折格子を構成し,高強度超短パルスレーザー用のパルス圧縮器などパワー応用の光学素子開発の基礎技術ができた。
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