配分額 *注記 |
10,900千円 (直接経費: 10,900千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2003年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2002年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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研究概要 |
我々の研究目的は、水素原子による吸着原子の引き抜き反応、H+D/Si(100)→HD : ABS(abstraction)、及び、H+D/Si(100)→D_2:AID(adsorption-induced-desorption)の応ダイナミックスの解明である。以下の成果を得た。 (1)ABS, AID反応で生ずる脱離分子の角度分布測定 脱離HD,及びD2分子の角度分布に関しては、AID, ABS反応ともにHD, D_2共に表面垂直方向にピークを持つことが判明した。LEPSポテンシャルを用いて、ABS反応の脱離角度分布のシミュレーションを行い、実験結果を再現できた。現在、現在投稿準備中である。 (2)AID, ABS反応の時間引き抜き用水素原子ビームをチョップし、H+D/Si(100)でのD_2脱離脱離の時間応答を測定した。その結果、温度に依存してビームオフ時にもD_2脱離が観測され、AID反応は速いプロセスと遅いプロセスが存在することを突き止めた。温度依存性の結果からAID反応はD/Si(100)3x1構造の2水素化Si相に関係して起こることを突き止めた。(J.Chem.Phys.121,3221(2004))。 (3)上の(2)項をさらに詳細に検討すべく、Hビームのパルス幅(0.4s)を短くし、かつパルス間隔を10sとながくした。さらに、時間分解をあげるためにパルスカウントをマルチチャンネルスケーラ)を用いた。その結果、ABS反応は入射Hパルスの波形に忠実に従うことがわかった。しかし、AID反応には,約0.05s,0.8s及び約30sの3つの成分が存在することがわかった。この事実から、ABS反応は直接引き抜き反応であることが疑義無く証明出来た。他方、間接的引き抜き反応であるAID反応は、Si(100)表面での3x1 dihydride相を持っdomain上で、照射Hにより過剰に作られた2水素化Siの不安定性に基づく脱離現象であることが確定された。この成果は現在Surface Science誌にに投稿中である。
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