研究概要 |
本研究ではナノピンセットにナノ物質の搬送だけでなく、ナノ物質からの発光計測またはそれへの局所的な光照射が可能な機能を持たせることで機能の複合化をおこない,さらに高度なナノツールを構築することを目的とし行った. 1 走査型電子顕微鏡(SEM)内にマニピュレーターを組み込んだ「ナノファクトリー」を駆使し一本のナノチューブを目的とするナノツールへと加工するナノ領域でのプロセス技術の開発を行った.その結果,多層ナノチューブの通電加熱による加工が非常に有用であり,ナノチューブの先鋭化,長さ調節,多層ナノチューブの一層一層の加工等(剥離,引き抜き等)が可能なった.これらに付随して,多層ナノチューブの層間に働く力や,層間の電気伝導特性の測定等,多層ナノチューブの基礎物性について明らかにした. 2 光学的特性の測定系をナノファクトリーに設置することでin situでの測定を可能とした.その結果,一本のナノチューブの通電加熱時に,その可視域における発光を観測し到達温度(2500K程度)の測定に成功した.同時に外部電界を加えることで熱電子放出が可能であることも確認した.このようにナノチューブを通電加熱することで光ファイバー等の照射系無しで1本のナノチューブと同スケールの微小白色光源や熱源,熱放出電子源として用いることが出来ことを見いだした. 3 電気伝導の測定のための接触抵抗に関しての基礎データの集積と電子線照射を用いた向上方法を提案した.また,これらのナノツールを原子間力顕微鏡へ搭載するための力ピックアップに関する検討を行った.ナノ光源実現へ向けナノスケールの石英ノズル先端へのループ状のナノチューブ取り付けに成功し,それからの発光スペクトルの測定と到達温度の同定に成功した.
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