研究分担者 |
高田 滋 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60271011)
大和田 拓 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40223987)
杉元 宏 京都大学, 工学研究科, 講師 (50222055)
小菅 真吾 京都大学, 工学研究科, 助手 (40335188)
曾根 良夫 京都大学, 工学研究科, 名誉教授 (80025923)
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配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2004年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2003年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2002年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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研究概要 |
1,物体表面で蒸発や凝縮を行う蒸気の流れのなかに微量の不活性気体が含まれている場合を考え,ボルツマン方程式とその境界条件の流体力学極限(平均自由行程が系の代表長に比べて無視できる極限)を考えることにより,蒸気の振る舞いを記述する新しい流体力学を系統的に導出した.これにより,平均濃度が無限小であるような微量の不活性気体が全体的な蒸気流に大きな影響を与えるという特異な振る舞いを明らかにした. 2.二種類の蒸気が平面凝縮相で蒸発し,無限遠方に向かって流れている問題,およびそれが無限遠方から平面凝縮相に向かって流れており,平面凝縮相で各蒸気の凝縮が起こっている問題を考察した.まず蒸発・凝縮が弱い場合について,線形化ボルツマン方程式の精密な数値解析を行い,流れの様子と凝縮相界面および遠方のパラメータ間に成り立つ関係を明らかにした.また,この問題に対する解の存在と一意性を数学的に保証した.このパラメータ間の関係は,任意形状の境界まわりの遅い混合蒸気流の流体力学極限において,流体力学方程式に対する境界条件を与えるものである.さらに,実際の半無限領域の問題では,たとえ蒸発・凝縮が弱くても非線形性が重要になり,蒸発と凝縮とで流れの様子が全く異なることを明らかにした. 3.様々な物理的状況に対してボルツマン方程式の流体力学極限を考えることにより,この極限で消滅する無限小の流れが極限の温度場に有限の影響を残すこと(幽霊効果)を具体的に示した.たとえば,弱い重力場中の異温度二平板間の気体における無限小ベナール対流による温度のひずみ,静止した同心二重円筒間の気体における無限小テイラー渦による温度のひずみ,二つの平面凝縮相の間で静止状態にある混合蒸気における無限小蒸発・凝縮による蒸気の分圧のひずみなどである.
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