研究分担者 |
坂 真澄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20158918)
祖山 均 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90211995)
笹川 和彦 弘前大学, 理工学部, 助教授 (50250676)
小倉 幸夫 日立エンジニアリング(株), 検査部門, 技師長(研究職)
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研究概要 |
テラヘルツ波は材料の電磁物性値に依存する電磁波の特性と,波長が短いという光波の特性の両方を持っている。本研究はその特徴を利用して,非接触かつ接触媒質が不要で,被検査体内部の情報を断層抽出し,可視化することを可能にする斬新なテラヘルツ波トモグラフィー技術の開発を図り,これによりプリント基板上に実装された電子パッケージ内素子と封止樹脂間のはく離のオンライン非破壊評価を初めて可能にするものである。二年より以下の成果を得た。 1.テラヘルツ波の発生及び検出装置の開発 レーザ光源から発生したフェムト秒パルスレーザ光をビームスプリッタに介してポンプ光とプローブ光に分光し,分光されたポンプ光を半絶縁性ガリウム砒素(SI-GaAs)に印加し,光伝導効果によってテラヘルツ波の発生に成功した。また,テラヘルツ波を検出用テルル化亜鉛(ZnTe)結晶に印加し,タイムディレイ装置を経て同時にZnTe結晶に入力されたレーザプローブ光がポッケルス効果によって位相変化を生じ,フォトディテクタを介してテラヘルツ波の電界の変化に対応するレーザ光の位相変化を検出することに成功した。 2.トモグラフィーシステムの構築 発生させたテラヘルツ波を被検査物に入射し,同期制御により検出プローブ光を被検査物から反射されたテラヘルツ波に同期させ,さらに電動ステージより被検査体の走査を制御し,一定のタイムゲート内での被検査物から反射されたテラヘルツ波の空間的な強度分布を検出するテラヘルツ波トモグラフィーシステムを構築した。 3.電子パッケージ内はく離の非破壊評価 テラヘルツ波トモグラフィーの実用化に向けて,実際にプリント基板上に実装された電子パッケージを対象として,その内部の素子と封止樹脂間のはく離の3次元画像の生成や,オンライン使用可能な実装後電子パッケージの非破壊評価方法の確立等を推進中である。
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