研究概要 |
本研究は電子デバイス鉛フリーはんだ接合部の実用化のために解決すべき信頼性問題を取り上げ,その原因を分析し,解決手法を提案するものである。鉛フリーはんだの適用における機械的信頼性問題としてまず,熱疲労サイクルによって銅配線とはんだの接合界面に生成される金属間化合物層に注目し,金属間化合物層の成長とはんだ接合部の疲労寿命の関係について示した。特に、最近リフロー温度の低温化への要求から注目されているSn-Zn系低温鉛ラリーはんだの界面強度問題と接合信頼性の確保手法について示した。また,リフロー過程において鉛フリーはんだ接合部に多く生成されるボイドに注目し,解析的および実験的手法をもちいてボイドの発生形態とはんだ接合部の疲労寿命との関係について明確にした。さらに,有限要素法を用いた鉛フリーはんだ接合部の応力・非線形ひずみ評価においての硬化則とクリープ側などの構成式の影響を調べ,その結果から,収束性に問題なくなおかつ,精度の良い応力・非線形ひずみの評価方法について提案した。 本研究を通じて,電子デバイス鉛フリーはんだ接合部の実用化において特に重要となる接合界面の強度,ボイドの発生.応力・非線形ひずみ評価における構成式の適用などの信頼性評価における問題点と解決手法について示した。これらによって電子デバイス鉛フリーはんだ接合部の信頼性向上や生産コストの低減,信頼性評価の効率化が実現できると思われる。
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