配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2003年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2002年度: 9,900千円 (直接経費: 9,900千円)
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研究概要 |
本研究は,プラズマ照射をすることにより,固体表面が一時的に親水化する性質を利用して,物体の急速冷却を可能にする技術の開発を目的とする. これまでに,アルミニウム,銅,ステンレスの3つの材料について,(1)プラズマの照射時間と接触角の変化,(2)プラズマ照射終了直後から撥水状態に回復する過程での接触角の変化,を測定することにより,プラズマ照射と濡れ性の関係についての基礎的な情報を得た.その結果,プラズマ照射に対してはアルミニウムが最も親水化が顕著であり,一時的に超親水状態になること,そして親水化の状態が長時間維持できることがわかった.銅とステンレスはアルミニウムに対するほどの効果はなく,接触角の低下も10°程度までであることが判明した.アルミニウムについては,表面に研磨粉が残ったままでプラズマ照射することにより,フラクタルな表面構造を有する超親水面を得ることができた.この表面は数ヶ月の間に徐々に疎水化し,最終的には接触角150°以上の超撥水状態にまで変化することがわかった. これらの表面に対して,液滴蒸発試験を行い,以下の項目が明らかになった. (1)最低表面温度50℃のときの蒸発時間は接触角に依存し,接触角の低下によりアルミニウムの場合は約1/12〜1/15に,銅の場合は1/4〜1/5に短縮されていおり,超親水性の効果により伝熱が促進される. (2)濡れ限界温度を調べたところ,接触角が小さくなるほど濡れ限界温度は上昇し,接触角が小さいほど濡れ限界温度は高くなる傾向を示す.アルミニウムの濡れ限界温度は最低約115℃,最高約160〜170℃であり45K〜50Kほど上昇した.銅では最低約115℃,最高約160℃であり45Kほど上昇した. 本研究の一連の実験から,プラズマ照射による濡れ性の改善効果は,急速冷却技術としての応用の可能性が明らかになった.
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