研究概要 |
経済分野など信頼性が最も重要な領域にまでインターネットが普及するのに伴い,通信の信頼性を高めることが大きな課題となりつつある。その最有力な方法が量子暗号通信である。量子暗号の特徴は,光子一つ一つに偏光情報などをのせると光子一粒だけの測定では不確定性原理により情報を読みとれないことを利用することであり,暗号化する乱数表を盗聴されることなく送受信者が共有できる。このためには,光パルスあたりの光子数を確実に1以下にする必要がある。このような問題点を解決し高速の単一光子源を実現するには,微小共振器により真空場のモード数を低減するとともに共振器内にただ一つの量子ドットを埋め込み,量子ドットの基底状態に関与した励起子を一つの共振モードに強く結合させ,単一光子を発生させることが有力である。 当該研究では,単一光子源を実現するためにピラミッド共振器を提案し,ピラミッド共振Q値〜5000を実験的に観測するとともに,ピラミッド微小共振器内部にCdS発光層を導入し,自然放出光が共振モードによって増大(遷移確率の増大)を示すことを確認した。単一光子を発生するためのZnCdS混晶ポテンシャル揺らぎによって生じた単一局在準位からの鋭いスペクトルを持った発光を観測した。さらに時間行きでもプーセル効果を確認するためにストリークカメラの感度増強を行い,単一エネルギー準位からの発光を時間分解することに成功した。この成果を今後単一光子源の実現に生かしていく。
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