研究分担者 |
島 弘 高知工科大学, 工学部, 教授 (00196461)
前川 宏一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80157122)
杉戸 真太 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (60115863)
岩本 政巳 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60232716)
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研究概要 |
本研究は,将来比較的大きな地震の生じる可能性のある都市を対象として,コンクリート構造物の位置(緯度,経度)、とその地盤特性および構造諸元を与えることにより,その地域で生じる可能性のある地震動による構造物の基礎位置での加速度波形を推定し,さらにその加速度波形を用いて構造物の動的応答解析を行い,構造物の地震時挙動を求めることによりその耐震性を評価するシステムを構築することを目的とした。以下に研究の実施内容と得られた成果を示す. (1)非定常スペクトル合成による強震動予測法EMPRを兵庫県南部地震の推定に適用し,阪神地域における任意地点での強震動の推定を行った。名古屋地域における地震動については,想定東海,想定東南海,およびそれらが連動する複合型東海地震を対象とし,断層モデルは中央防災会議ならびに地震調査研究推進本部から発表されたアスペリティ分布を持つモデルとし,工学的基盤における地震動予測法EMPRならびに地盤震動解析法FDELによりシミュレーション地震動を算出した.さらに,三陸南地震や2003年十勝沖地震による基盤地震動ならびに地表地震動の算定も行った. (2)このようにして得られた地表面での加速度波形をもとに,コンクリート構造物,特に橋脚の応答変位と応答せん断力を3次元非線形動的解析手法を用いて求めた.なお,3次元非線形動的解析に関して,鉄筋の横方向へのハラミだしのモデルの改善と,適用範囲を高強度鉄筋にまで拡張した.これを鉄筋コンクリート部材の動的応答非線形解析システムに組み込んで,部材の変位表示の靱性解析の精度向上を図った。また,コンクリート橋の橋脚のように,比較的せん断補強筋が少ない鉄筋コンクリート柱のせん断耐力に関するデータが不足していることから,これらの柱の載荷実験を行った.せん断補強筋が少ない場合にはせん断ひび割れの幅は大きくなるが,同時にせん断ずれも大きくなるために,トラス機構以外で負担するせん断力は低下せず,現行のVu=Vc+Vsの式が適用できることが明らかとなった。 (3)コンクリート橋脚の地震応答解析の結果,基盤面の地震動加速度が同じでも地盤条件によってはせん断破壊に至ることや,地震動加速度の卓越振動数や地震動減衰後の波形が構造物の挙動に影響を及ぼすことが明らかとなり,構造物の耐震性を評価する上で重要な要因となる知見が得られた.
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