研究分担者 |
丸山 敬 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00190570)
荒木 時彦 京都大学, 防災研究所, 助手 (60335221)
林 泰一 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10111981)
奥田 泰雄 独立行政法人建築研究所, 構造研究グループ, 上席研究員 (70201994)
西村 宏昭 財団法人日本建築総合試験所, 耐風試験室, 室長
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2002年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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研究概要 |
本研究では,台風における強風被害の状況およびその発生原因を,強風による被害調査,自然風中における実物及び模型実験及び風洞実験によって調べ,強風被害の低減のために,何をどのように改善する必要があるかを検討した。 建築物の強風被害で特に目立つのは屋根瓦や窓ガラス等の屋根及び外壁の葺き材の破損と飛散である。これらの破損は,台風時の猛烈な突風によって,葺き材の取り付け強度を上回る風圧が作用することに伴って生じる。本研究では,台風のような突風下での風圧力を検討するため,京都大学防災研究所潮岬風力実験所において,高層建築物の大型模型及び寄せ棟屋根を持つ実験建物により,壁面及び屋根瓦の風圧変動を,季節風及び台風襲来中の強風下で測定した。建築基準法や荷重指針では,10分間平均風速に基づいて風圧力を定めているが,台風のように突風性の強い強風下では,建物のスケールの4倍程度の突風に基づいて風圧力を評価することで,台風等の突風下の亜荷重を精度良く評価できることが明らかになった。 瓦に作用する揚力は,いわゆる局部負圧域ではなく,屋根面に対して風上側から風が当たる時に最大となることが明らかとなった。瓦の揚力は表面と裏面との圧力差によって生じるため,その圧力バランスが崩れる風上面の方が風下面よりも瓦は飛散しやすい。軒付近の瓦が最も飛散し易いが,軒付近をシールすることによって,瓦の飛散をある程度防ぐことができる。 研究期間中に行った被害調査結果から,長尺鋼板屋根の風に対する脆弱性が明らかになるとともに,この種の屋根に作用する風圧力の精度の良い評価の必要性と,その固定方法に対する問題を疲労を含めて検討する重要性が明らかになった。また,厳島神社の被害など,地形性の強風,特に台風時の地形性下降流が被害の発生と拡大に大きな影響を及ぼしているのではないかと推定された。
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