配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
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研究概要 |
1.一連の新準結晶合金の発見 正20面体対称クラスターの周期的配置と解釈できるZn17Sc3型結晶を出発物質として新準結晶合金を探索した。もしクラスターを壊さずに、その配置を準周期的にすることができれば、新しい準結晶合金に至ることができると考えたからである。第3元素Mを少量添加することによって、この可能性を検討した。その結果、M=Mn,Fe,Co,Ni,Pd,Pt,Ag,Auにおいて正20面体準結晶を見いだした。特に、M=Fe,Co,Ni,Pd,Auの場合には、平衡相として準結晶が形成されることを確認した。さらに、Zn17Sc3型に属するCu-Ga-Sc結晶に少量のMgを添加することによって、初めてのCu基準結晶Cu48Ga34Mg3Sc15の形成を確認した。 2.Tsai型準結晶としての統一的な理解 本研究で見いだした一連の準結晶は、従来から知られていたAl基準結晶やZn-Mg-L(L=ランタン系列元素)準結晶とは異なり、Cd基準結晶と同型に属するものであることを示して、これをTsai型と名付けた。Tsai型準結晶は、従来から知られていた準結晶と局所構造単位(クラスター)の観点で異なるばかりでなく、化学量論比や合金としての性格も異なる。すなわち、第1元素として2価、または平均的に2価の金属を80at.%程度含む合金で、第2元素として希土類金属(ランタン系列元素、またはSc)を15at.%程度含み、平均価電子濃度2.00〜2.15を持つHume-Rothery相である。これらの結果は、今後の準結晶合金探索の指針になるものと考えられる。 3.新しい準結晶の物性 本研究で見いだした一連のZn-M-Sc準結晶について磁気測定を行った。その結果、Co,Niにおいて弱い常磁性を、また、M=Mn又はFeの場合、低温においてスピングラス転移の存在を示した。特に、Zn-Fe-Scでは、1Fe原子あたりに換算して5.1μBという大きな磁気モーメントが見積もられた。この磁性は、HoやDyなどを含むZn基準結晶で報告されていたスピングラスと類似しており今後の研究が期待される。
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