配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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研究概要 |
本研究により得た主な結果を以下に箇条書きにまとめる。 (1)ナノメートルサイズの高純度アモルファスシリカであるフュームドシリカを固相焼結することにより,透明なバルクシリカガラスを作製することができた。固相焼結温度は1000℃程度が望ましく,その際透明化には100時間程度要することがわかった。 (2)得られたシリカガラスは5eV(〜250nm)程度のエネルギーをもつ紫外線励起により可視域のほぼ全域に及ぶ発光(白色発光)した。 (3)発光寿命測定,および発光強度の温度依存性を測定した結果,この白色発光は,固相焼結過程で生成した欠陥準位が関与する光励起過程,およびそれによって生じたキャリアーの拡散,再結合によるものと推察された。 以上述べた結果は,これまでバンドギャップの狭いアモルファス半導体でおもに観測されてきた光励起キャリアーの生成,拡散,再結合という過程が,ワイドバンドギャップを有するシリカガラスにおいても中間準位からの励起を利用することで観測されたという点で興味ある現象である。また,以上の過程は,励起キャリアーの光伝導性の存在を示唆しており,今後は光伝導性の有無を調べることが本モデルを確証するために必要となるであろう。 シリカガラスの光学特性,発光特性についは,これまで膨大な研究の蓄積があるが,本結果は,その微細構造を制御することでシリカガラスと言えどもまだまだ新しい物性を見出すことのできる可能性があることを示している。今後は,今回見出した現象に関する知見をもとに,シリカガラスに秘められた未知の光物性,電子物性を開拓すべくさらなる研究を進めていく予定である。
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