研究課題/領域番号 |
14350353
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機材料・物性
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤井 達生 岡山大学, 自然科学研究科, 助教授 (10222259)
|
研究分担者 |
高田 潤 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60093259)
中西 真 岡山大学, 工学部, 助手 (10284085)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2004年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2003年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2002年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
|
キーワード | 酸化物磁性半導体 / イルメナイト / ヘマタイト / 反応性スパッタ法 / 交換結合膜 / 高分解能蛍光X線分光 / X線光電子分光 / 積層膜 / フェリ磁性 / エピタキシャル薄膜 / 固溶体 / 非化学量論性 |
研究概要 |
本研究では、環境に優しいスピントロニクス材料の実現をめざし、まず、α-Fe_2O_3-FeTiO_3固溶体の中でも最も高い飽和磁化を示すFe_<1.2>Ti_<0.8>O_3組成の薄膜化を実施した。薄膜作製は、FeTi合金ターゲットを出発原料とする反応性スパッタ法により行なった。フェリ磁性を示す固溶体薄膜の実現には、結晶格子中でc軸方向にFe-rich層とTi-rich層が交互に積層した秩序相(空間群R3)の生成が必須であり、そのためには、成膜時の基板温度ならびに酸素分圧を厳密に制御する必要があることを明らかにした。 次に、Fe_<1.2>Ti_<0.8>O_3薄膜の強磁性転移温度(T_C)を向上させることを目的に、高い反強磁性転移温度(T_N)をもつα-Fe_2O_3層をFe_<1.2>Ti_<0.8>O_3層と積層させた二層膜を作製し、層間の交換結合がFe_<1.2>Ti_<0.8>O_3層のT_Cに及ぼす影響を検討した。作製した二層膜は、基板温度550℃と高温であるにもかかわらず、非常にシャープな界面構造を有していた。また、二層膜のT_Cは約220Kであり、単相膜のT_C=約210Kと比較して、約10Kほど上昇させることに成功した。 ところでFeTiO_3中の金属イオンは、Fe^<2+>とTi^<4+>の化学状態にあると考えられてきた。しかし、高分解能蛍光X線分析を実施したところ、FeTiO_3中のTiイオンの特性X線は、Ti^<3+>のものと非常に近いピーク形状を示しており、Ti^<3+>に近い化学状態にあることを明らかにした。また、XPSスペクトルからも、FeTiO_3は価電子帯のフェルミ端近傍に小さな状態密度を持っており、局在化したTi3d電子が存在する可能性を示した。よってα-Fe_2O_3-FeTiO_3固溶体の電子状態を正しく理解し、その磁性半導体として特質を明らかにするためには、より詳細な分光学的研究が必要であることを示した。
|