配分額 *注記 |
16,800千円 (直接経費: 16,800千円)
2004年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2003年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2002年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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研究概要 |
超伝導複合線材は作製・巻き取り中には引張・曲げ応力や構成材間の線膨張係数の差に起因する熱残留応力が,使用中にはローレンツ力により静的および繰り返し応力が連続あるいは断続的に負荷される.そのため,超伝導複合線材の力学挙動とその超伝導特性に及ぼす影響を明らかにし,もって超伝導特性確保要件を把握することは重要な課題である.本研究では,Bi_2Sr_2Ca_2Cu_3O_x/Ag(以下Bi2223/Ag),Nb_3Al/CuおよびNb-Ti/Cu複合線材を対象として,【複合線材中のフィラメントのひずみや破壊の発生・成長・集積と臨界電流の相関を把握】し,その結果を基に,【応力環境下で高臨界電流を確保するための要件を把握】することを試みた.主な結果は以下のように要約される. 静的負荷応力条件下で,フィラメントの引張破壊ひずみは,Bi2223で約0.09-0.13%, Nb_3Snで約0.5-1.2%, Nb_3Alで約0.6-1.0%, Nb-Tiで約2%である.臨界電流を損なわない負荷ひずみの限界はフィラメントがこれらのひずみに達しない条件である.負荷応力方向の圧縮の熱残留応力を導入することにより,複合材中でのフィラメント破壊を遅らせることができる.Bi2223試料では,引張では負荷されるひずみ限度を破壊ひずみの下限と圧縮残留ひずみの和である0.25%程度,曲げでは曲げひずみを0.4%程度以下に押さえることが高臨界電流を確保するには有効である.繰り返し応力下では,安定化銅で疲労き裂が発生し,それが疲労寿命の約70-90%の応力サイクル数でフィラメントと安定化材の存在するコア部に進展すること,コア部に疲労き裂が達すると臨界電流が低下することを明らかにした.これらの結果から,コア部に疲労き裂が到達するまでの応力サイクル数(破壊が生じるサイクル数の約70%以下のサイクル数)で用いることなどが対策といえる.
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