研究課題/領域番号 |
14350376
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
平井 伸治 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (10208796)
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研究分担者 |
上村 揚一郎 物質・材料研究機構, 物質研究所, 特別研究員
嶋影 和宜 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005346)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2003年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2002年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
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キーワード | ゾル-ゲル法 / ナノ構造体 / CO_2吸収材 / 分離膜 / Al陽極酸化皮膜 / リチウムジルコネート / 細孔径制御 / 透過係数比 / Al陽極酸化分離膜 / 透過率 / CO_2 / N_2透過係数比 / 選択分離特性 / Li_2ZrO_3 / 陽極酸化 / テンプレート / ナノチューブ / 光電子倍増管 |
研究概要 |
燃焼排ガスの主成分であるCO_2/N_2混合気体からのCO_2の分にAL陽極化分離膜を応用するための基礎実験として、A1陽極酸化分離膜の湿度に対する安定化と細孔径の微調整を目的とした真空加熱およびゾル-ゲル被覆の効果について検討した。さらに、分離操作により濃化したCO_2ガスについてはその後のプロセスとして回収が必要であるが、Li_2ZrO_3がCO_2と可逆的に反応し、953Kより低温域ではCO_2を吸収し、953K以上ではCO_2を放出することを利用すればCO_2の回収を行うことができる。本研究ではLi_2ZrO_3粉末をゾル-ゲル法により合成し、そのCO_2の吸収・放出特性について検討した。 最初に、Al陽極酸化皮膜の細孔径分布の真空加熱温度依存性から、バリアー層側の細孔は1073Kではガス吸着/脱着測定装置の測定限界以下の微細孔であったのに対し、1273Kと1473Kでは4nm付近まで拡大し、1673Kでは再び測定限界以下に縮小する傾向が見られ、この傾向はバリアー層側のSEM観察からも確認された。一度1273Kで真空加熱を行いバリアー層側の細孔径が拡大した分離膜に、さらにゾル-ゲル被覆を施したところ、2回までのコーティングにおいて細孔径分布幅の減少が確認された。 次に、ゾル-ゲル法により合成したLi_2ZrO_3粉末のCO_2雰囲気中におけるTG曲線からは、昇温開始から500K付近までCO_2の吸収によりTGは緩やかに増加するが、573K付近では合成粉末中の残留有機物の分解に起因したTGの減少が見られた。さらに、773K付近ではCO_2の吸収により質量が増加し、高温の973Kまで達するとCO_2の放出による急激な質料減少が確認された。このことから、合成粉末は一度Ar雰囲気中993Kに加熱することによりCO_2を全て放出させた後、773K、7.2ksに保持したところ吸収率は92%に達した。 また、ゾル-ゲル被覆を施したAl陽極酸化分離膜について試作装置を用いてCO_2/N_2透過係数比を測定した。ゾル-ゲル被覆のコーティング回数が3回において透過係数比が最も増加した。しかし、本研究における最高の透過係数比はわずか1.8であり、TEOSとテンプレートに臭化テトラプロピルアンモニウムを用いてゾル-ゲル被覆を施した多孔質アルミナを用い、水蒸気を混合させたCO_2/N_2混合ガスを分離した場合の80には及ばなかった。さらに、TEOSを用いてゾル-ゲル被覆したガラスフィルターの場合は、湿潤環境に未放置の分離膜ではCO_2/N_2透過係数比が1.9程度であったのに対し、湿潤環境に放置した分離膜ではCO_2/N_2透過係数比が48.3まで増加している。すなわち、膜への溶解度および膜内の拡散速度の差により分離が行われる溶解拡散機構によりも、むしろ分離膜表面に存在する水へのCO_2の溶解により分離が行われていることから、本研究で作製した分離膜も水の介在によりCO_2/N_2透過係数比の増加が期待される。
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