配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
|
研究概要 |
電解重合によるZn上への2-ビニルピリジンポリマーの形成に及ぼす電解因子の影響を可逆電位掃引電解により調査した。可逆電位掃引方式による重合膜の形成量は,浴pHに大きく依存し,pH5前後で最も多くなった。これは,2-ビニルピリジンモノマーの重合反応では特定量のプロトンが重要な役割を果たしていることを示唆している。皮膜の形態は,水素発生による影響を受け,その発生量が多くなるような電解条件下では,ガス発生跡と思われるピットや凹部が多数形成され,不均一となった。可逆電位掃引方式では,pH5,浴温20℃〜30℃で緻密な皮膜が得られた。一方,定電位電解の際の電流密度は,皮膜が2次元方向に優先成長し下地を被覆する初期に急激に低下し,その後緻密な皮膜が厚く形成されるほどより低下した。また,3%NaCl溶液中でのZn板のアノード電流密度およびカソード電流密度は,電解重合膜を付与することにより共に低下した。 次に,メタノールを含むpH5の水溶液にて,30℃の定電流電解によりZn基板上へポリ2-ビニルピリジン膜を電解重合させた。定電流電解により形成された膜の厚さは,通電量に比例して増加したが,電流密度が高くなると,水素発生量が多くなるため減少した。皮膜のFT-IRスペクトルおよび色調の結果より,ポリ2-ビニルピリジンの構造は,電流密度の増加に伴い,非枝分かれ構造から枝分かれ構造に変化することが推察された。3%NaCl溶液中でのZn溶解のアノード電流密度は,ポリ2-ビニルピリジン膜を被覆させることにより大幅に減少した。電解重合の電流密度が50A/m^2の時,アノード反応は最も抑制されており良好な耐食性を示した。皮膜の厚さ,構造に及ぼす通電方法の影響はなかったが,定電流電解により作製した皮膜が最もクラックが少なく,最も耐食性を改善した。
|