配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
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研究概要 |
Fe-Ni電析合金膜は,高透磁率,低保磁力という特徴を持つため,磁気記録の薄膜ヘッド材として幅広く用いられている。近年,磁性体に歪みを与えると磁気特性が変化するという逆磁歪効果を利用して,測定対象物にかかる張力,トルク,圧力,重量などを磁気特性の変化によって検出するいわゆる磁歪型応力センサーへの適用が期待されている。このFe-Ni合金電析は,電気化学的に卑なFeが貴なNiより優先析出する変則型共析という特異的な挙動を示す。薄膜の磁気特性は,その構造,厚さ等様々な因子に依存するが,Fe-Ni合金においてはその組成への依存性が大きいため,合金組成の制御が必須である。このため,Fe-Ni合金の変則型共析機構を解明することは重要と考えられる。硫酸塩浴から種々の電解条件においてFe-Ni合金電析を行い,その電析機構を検証した結果,以下のことが明らかになった。 Fe-Ni合金電析は,広い電解条件下で,より卑なFeが優先電析する変則型共析となることが確認された。この特異な現象は,Feとの共析によりNiの電析が大きく抑制されるため出現した。変則型共析時の陰極層pHは,鉄族金属の水酸化物生成の臨界値まで上昇しているものの,FeとNiの水酸化物生成臨界pHはほぼ同じであることから,この水酸化物抑制機構では変則型共析機構を説明できない。鉄族金属の電析はMOH^+およびMOH_<ad>(M=Fe,Ni)という反応中間体を経由することに着目すると,FeOH^+の解離定数がNiOH^+と比較して圧倒的に小さいことから,FeとNiの共析時においてはNiOH_<ad>の吸着サイトがFeOH_<ad>よって奪われNiの電析反応が抑制された結果,変則型共析挙動が出現するという機構を提案した。FeOHの吸着を形成し難い電解条件下では合金電析時の変則性がいずれも緩和されることが確認された。また、Fe-Ni電析膜の保持力は,皮膜の組成および結晶粒径に依存した。
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