配分額 *注記 |
13,600千円 (直接経費: 13,600千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
|
研究概要 |
近年,オルガノゲルが注目されているが,一般になじみのある親水性高分子によるヒドロゲルとは異なり,構成分子はある種の低分子であって,この低分子が有機溶媒中で分子集合することによりポリマーネットワークのようなナノ繊維状会合体を形成し,結果として有機溶媒がゲル化することを特徴としている。オルガノゲルに注目が集まる理由は,ゲル化プロセスにおいて脂質二分子膜類似の分子配向場が形成される点にあり,そのため一次元ナノ構造構築のための分子ツールとしても注目されている点にある。機能の設計が分子レベルで予想できることや,分子配向による機能増幅や超分子的な機能発現を期待できる点も魅力となっている。この典型的な例としてアモルファスゲルでは発現しにくい不斉増幅や特殊な光学特性の発現(エキシマー形成)などが挙げられる。一方,オルガノゲルの弱点は物理的な脆弱さにある。多くの場合,ゲルに振動を与えると見かけのゲル状態は簡単に崩壊する。しかしここで面白いのは,巨視的にはゲル状態が破壊されていても(機械的振動によって分子集合ネットワークがある程度破壊されても),微視的には分子の配向状態が依然として維持されている点にある。そこで本研究では,このようなオルガノゲルの特徴を活かし,安定化法を開発することによって無機担体に導入することにより,従来の分離材では発現しえなかった精密で高選択的な分離を達成する新しい固定相を開発することを目的とした。とくにオルガノゲルが発現する特殊な不斉性に着目し,光学分割に適用することを最終目標とした。そのため本研究は,オルガノゲルを形成する分子の化学構造と機能,とくに不斉性や同分子ゲルを安定化するための手法,さらにはシリカゲルへの固定化と液体クロマトグラフィ分離への適用,オルガノゲル系との比較としてポリペプチド系について併せて検討した。
|