研究分担者 |
内田 勇 東北大学, 大学院・工学研究科, 客員教授 (50005302)
岸岡 真也 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (30324007)
山田 明文 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80004430)
伊藤 隆 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 助教授 (40302187)
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研究概要 |
固体高分子形燃料電池単セルに電気化学計測技術を適用してセル中で(in-situ)電気化学計測を行い,また使用される材料単体の計測をセル外で(ex-situ)行う,新規な電気化学計測システムを構築した。従来,固体高分子形燃料電池(PEFC)の電気化学的試験評価は,単セルそのものを用いた電流-電圧特性の測定に終始していたが,本研究では実際に使用される環境下で計測する電気化学的基礎手法を確立した。主な研究成果は,以下の通りである。まず,多孔質マイクロディスク電極と多孔質マイクロリング電極を用いて,電極触媒単体および電極触媒/固体高分子電解質積層構造の電気化学特性を計測できるようにした。次に,電解質膜の膜厚方向の精密なプロトン伝導率をマイクロ電極の使用により可能とした。これを単セルにおけるカレントインタラプタ法による伝導率と比較したところ,よい一致を示した。一方,マイクロ電極を用いて固体高分子電解質膜単独のアルコールクロスオーバ測定方法を開発した。このことにより,簡便な電気化学測定によりクロスオーバの定量化が可能となった。また,電気化学計測用分光光度計を用い,芳香族アルコールの酸化還元機構の研究を通して,その新規燃料としての可能性を研究した。さらに,マイクロ電極を用いてナフィオン膜のイオン伝導性に及ぼす水および水とアルコール混合比の影響を研究した。これは,PEFCならびに直接メタノール形燃料電池(DMFC)運転に際して電解質膜の基礎特性となるものである。以上のように,固体高分子形燃料電池単セルと使用される材料の各電気化学特性を計測しあるいは比較することで,従来は困難であった材料ないしはセルシステムの電気化学研究が大きく進展した。
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