研究課題/領域番号 |
14350483
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
高分子合成
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
畑中 研一 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 教授 (70167584)
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研究分担者 |
粕谷 マリアカルメリタ 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (30334361)
佐藤 智典 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00162454)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
2004年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2002年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 糖鎖プライマー / 糖鎖ポリマー / 糖鎖合成 / 糖脂質 / 細胞内導入 / 糖転移反応 / グリコシド / メラノーマ細胞 / 二重結合 / アジド化合物 / 細胞内糖鎖伸長 / 糖鎖高分子 |
研究概要 |
平成14年度は、末端にアジド基を有するドデカノールの大量合成を行い、アセチル化ラクトースと反応することによって、アジドドデシルラクトシドを大量に合成した。細胞により合成された糖鎖はアグリコンを外して「糖鎖」としても利用価値があるが、アグリコン末端に導入した二重結合やアジド基を利用して高分子化すれば、糖鎖ポリマーとしての機能が期待される。平成14年度はそのモデル反応として糖鎖プライマーの高分子化を試みた。アジドドデシルラクトシドを還元、アクリロイル化、重合して、糖鎖ポリマーを合成した。また、キトサンダイマー(二糖)をアセチル化、オキサゾリン化した後、ドデカノールと反応することにより、キトビオースプライマーを合成した。合成したキトビオースプライマーをB16メラノーマ細胞、PC12細胞の培養系に添加して糖鎖伸長を調べたところ、ガラクトースの転移反応が認められた。 平成15年度は、β型のラクトースプライマーにシアル酸を転移してGM3型の糖鎖を作ることがわかっているB16メラノーマ細胞を用いて、αグルコシド、βグルコシド、αガラクトシド、βガラクトシド、αラクトシド、βラクトシドのドデシルグリコシドプライマーに対する糖鎖伸長を試みた。βグルコシドプライマーを培地中に添加すると細胞が死滅するが、αグルコシドプライマーでは何も起こらなかった。βガラクトシドプライマーにはシアル酸の転移が起こるのに対して、αガラクトシドプライマーでは何も起こらなかった。さらに、ラクトシドプライマーはαもβもシアル酸転移が起こった。以上のことより、B16細胞においてシアル酸転移が起こるためには、βガラクトシドユニットが重要であることが判る。また、同様の条件で、長鎖アルキル基の半分をフッ素で置換したプライマーにもシアル酸転移が起こった。これは、フッ素を含むアグリコンを有するグリコシドが細胞内に取り込まれた最初の例であり、細胞内の糖転移酵素によって糖鎖伸長が行われた初めての例である。フッ素を含む化合物に対する合成反応は、有機溶媒を使わないグリーンケミストリーの観点からも興味深い。 平成16年度は、B16メラノーマ細胞を用いて、末端に官能基を持つ合成糖鎖プライマーが実際に細胞内に取り込まれて糖鎖伸長反応を受けるかどうかをHPTLCから評価した。末端にビニル基を持つラクトシドを投与したもの、末端にアクリル基を持つラクトシドを投与したものをコントロールと比較すると、それぞれのラクトシドと同じ位置に新たなバンドを確認することができた。このことから、これらの糖鎖プライマーは細胞内に取り込まれていることがわかった。しかしながら末端にビニル基を持つラクトシドと末端にアクリル基を持つラクトシドは、従来型のn-ドデシルラクトシドと比較すると、バンドが薄く細胞への取り込みが悪いことが示唆された。
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