配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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研究概要 |
噴霧の応用分野は広く、これまでに多くの研究が行われてきたにもかかわらずが,乱流微粒化機構の基礎的な理解は余り進んでいない,主な原因は,現象が微細且つ高速であるため詳細観察が困難であり,乱流微粒化機構を解明するのに有力な概念の創出が難しかったことにある.本研究では,この閉塞的な状態を打破するために従来の研究になかった「微小重力環境」という新しい実験手段を利用し,乱流微粒化機構を解明するための独創的なアプローチをおこなった.実験のキーポイントは,雰囲気ガスとして高圧純粋窒素,噴射液体には臨界温度が常温に近い六弗化硫黄(SF6)を使用し,噴射液の表面状態を臨界混合状態に近い状態にしている点にある.近臨界混合表面液ジェットでは,表面張力が零に近づくと同時に気体密度が大きくなるために,小さな気液速度差でもウェーバー数が大きな値を取り,乱流微粒化で主要な役割を果たす噴射液の不安定化と気体ウェーバー数が0(1)になる条件での液糸の分断過程の詳細を,低速の近臨界混合表面液ジェット(重力が働くと流れがかわってしまう)を用いて調べることが可能になる.したがって、この研究の特徴は,従来接近が困難で知識の乏しかった(1)乱流微粒化機構と(2)高温高圧ジェットの不安性に対して,微小重力環境と近臨界混合表面液ジェットを利用することによって,(1)と(2)の2つの難問を同時に解決する方法論を見出した点にあるといえる. 本研究では,微小重力実験から得られた新しい発見を数値シミュレーションを援用しながら理論的に基礎付けることにより,これまでの微粒化研究の内容を大幅に塗り替える研究成果を導くことができ,微粒化制御への道筋を切り開くことを可能にした.特に,表面張力波が不安定波に転化する事実をつきとめ,液体の分断が次の分断を引き起こす不安定波を生み出すことを明らかにした.また,噴霧燃焼との関連を考察し乱流微粒化を含んだ本格的な噴霧燃焼シミュレータ開発への展望も描けるようになった.
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