配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2002年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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研究概要 |
植物キチナーゼは,植物の感染特異的タンパク質(PR protein)の一種であり,植物の病気抵抗性レスポンスにおいて重要な役割を持つと推測されている。本研究の目的は,成熟期のブドウ果実に発現するキチナーゼを分離・精製し,酵素学的性質そして植物病原菌に対する抗菌作用を検討し,ブドウの病気抵抗性におけるキチナーゼの役割を明らかにすることである。 マスカット・ベリーA(MBA)の成熟果実の果皮より得た抽出液をキチンアフィニティークロマトグラフィーにより分離した。このキチナーゼ画分を陽イオンクロマトグラフィーにより分離し,二つのキチナーゼ画分,CHI-1とCHI-2を得た。CHI-1とCHI-2はSDS-PAGEで単一バンドを示し,その分子量は,それぞれ29.2kDaと27.7kDaであった。MBAのCHI-1からクロマトフォーカシングにより4種類のキチナーゼアイソザイム(CHI-1a,-1b,-1c,-1d)を精製した。そのN末端アミノ酸配列は,すべてクラスIVキチナーゼと高い相同性を示した。CHI-1とCHI-2は灰色カビ病菌と晩腐病菌の生育を阻害し,その効果は酵素濃度依存的に上昇した。MBA,甲州(KOS),カベルネ・ソービニヨン(CAS),シャルドネ(CHA)の果皮に含まれるキチナーゼの活性は,NBA, KOS, CAS, CHAの順に強かった。MBA, CAS, KOSにはCHI-IとCHI-2が検出されたがCHAにはCHI-1のみが検出された。CHI-1の電気泳動パターンを品種間で比較すると,MBAが4種類,CASとCHAが2種類,KOSが1種類のタンパク質バンドを示した。病害抵抗性の強いMBAの果皮では,キチナーゼ種類および量ともに多かった。これらの結果は,キチナーゼの種類と量が病害抵抗性に大きく関与していることを示唆していた。
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