配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2002年度: 8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
|
研究概要 |
本研究においては,ゴキブリ類がなぜ家屋害虫化したのか,進化的背景を探り,そのユニークな習性を利用して行動制御のための素材開拓を目標とした(以下,各項目に対応する報告書の章を示す).チャバネゴキブリの雄が腹部背面腺から分泌する性フェロモンは,雌に対する摂食刺激性が著しく強く,雌の食物嗜好性と極めて密接に関係している.活性因子の化学組成を分析した結果,オリゴ糖・リン脂質・ステロイドおよびアミノ酸を含む少なくとも38種の化合物群から構成されていることお明らかにした(第1章).これらの,化合物間相互における協力刺激活性を行動学ならびに神経生理学的に計測し,複合的味覚受容の機構を解析した.とくに,神経電位の測定から,特定の味覚感覚子が,口器パラグロッサに集中分布することが判明した(第3章).これらの結果から,雌成虫の求愛摂餌刺激感覚と,一般食餌刺激感覚の味覚生理基盤の相同性が明らかとなった.もともと,家屋性ゴキブリは,森林性のゴキブリから進化してきたものと考えられる.森林性のモリチャバネゴキブリ,草地性のヒメチャバネゴキブリとの背面分泌腺分泌物の化学組成比較から,森林性ゴキブリ類と家屋性のゴキブリ類の食性の違いが配偶選択とリンクしていることが強く示唆された(第2章).ゴキブリ類の「性」と「食」を司る化学的要因の総合的な理解から繁殖行動制御への新たな手法を確立するための重要な知見を得ることができた(第4章).
|