研究概要 |
高分解能衛星IKONOS, QuikBirdを利用して、スギ人工林の炭素貯留畳の推定を行った。対象地は新潟県巻町管内角田山周辺,及び津川町管内である。この管内一帯に、角田山周辺に調査プロット21個、津川町一帯に45個を設定し、プロットの材積とプロット位置に該当するバンド3の平均輝度値との相関を調べたところ、いずれの地域にも指数関係が成立した。そこで、新潟県森林GISを利用して、スギ人工林を抽出し、衛星画像と森林基本図を重ね合わせし、小班内の各画素の平均輝度値を算出し、これを上記の指数式に当てはめて、小班単位の材積を推定した。 森林が貯留する炭素量は、材積に容積密度と炭素率を乗じることで推定可能である。スギの容積密度は0.32、炭素率は0.5である。一般的には、炭素は幹だけでなく、枝、葉、根にも含まれる。幹量から、全体の炭素量を推定するには拡大係数1.7が使われる。しかし、今回は材積の推定を主体に考慮しているので、材積から貯留する炭素量のみを推定した。 その結果、角田山周辺のスギ人工林の炭素貯留畳は39,988トン、津川町の炭素量は180,101トンと推定された。一方、わが国の民有林には材積が記載された森林簿がある。しかし、この森林簿はコンピューター内の成長式により、材積を計算するため、現状に合っていないとの指摘がなされている。そこで、森林簿材積と高分解能衛星から求めた材積を比較してみた。その結果、RMSE(残差平方の平均値)で比較したところ、角田山は高分解のRMSEは134m3/ha,森林簿は162m3/ha,津川町は高分解能のRMSEは220m3/ha,森林簿は239m3/haとなり、高分解能衛星を利用した材積推定の方が精度のよいことが分かる。
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