研究分担者 |
小川 滋 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30037973)
熊谷 朝臣 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (50304770)
平松 和昭 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (10199094)
久保田 哲也 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (40243381)
久米 篤 富山大学, 理学部, 助教授 (20325492)
永淵 修 福岡県, 保健環境研究所, 専門研究員
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2004年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2003年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
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研究概要 |
本研究では,九州大学福岡演習林御手洗水流域に試験流域を設置し,ヒノキ人工林流域の水・エネルギー・物質循環を定量評価した. (1)流出に関する研究 流域貯留量と流出量の関係はピーク流出量発生時点の付近では直線になり,その傾きは流域貯留量7.6mmを境に変化し,それ以下では中間流が卓越し,それ以上では表面流が発生し始めることを示唆した.また,貯留関数法におけるパラメータは,遺伝アルゴリズムあるいはファジー線形回帰法により最適値検索できることを示した.さらに,TOPMODELによって長短期流出解析が可能であることを確認した.なお,ライパリアンゾーンの地下水位が流域スケールの流出現象を最も強く支配していること,高水時には斜面-ライパリアンゾーン-流路が水文学的に連結するため,斜面浅部の土壌水分量と流出量の関係も強いことを示した. (2)蒸発散に関する研究 グラニエ(樹液流測定)法適用のために必要な辺材面積サンプル数を確率論的に検討し,スギ・ヒノキでは少なくとも20本の辺材面積を実測する必要があることを提示した.ヒノキの樹液流速に個体差はあるものの日変化パターンに個体差がないこと,胸高直径が大きいほど樹液流速・辺材面積が大きくなるため,両者が相乗的に作用して胸高直径が大きいほど単木蒸散量が大きくなることを明らかにした.また,2段タンクモデルを適用することによって,流出量と蒸発散量の季節変化を概ね正確に推定できることを明らかにした. (3)物質循環に関する研究 流域からの流出負荷量を正確に評価するためには,L-Q式のように流出量を考慮することが不可欠であることを示し,御手洗水流域では全窒素(T-N),全リン(T-P)ともに収入より支出の方が多いことを示した.ただし,リンの流出負荷量の大半が出水時の懸濁態リンで占められるため,リン流出負荷量はL-Q式でも過少評価されることを示した.
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