配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
2004年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2003年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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研究概要 |
淡水および海水に2日間馴致した卵黄玉(ティラピア胚体から切取った卵黄嚢)で,卵黄嚢上皮におけるイオンの透過性を比較した。淡水および海水に馴致した卵黄玉でCl^-の濃度に差はなく,何れの環境中でもCl^-濃度が調節されていることが示された。また,Cl^-の透過性は生体と同様に卵黄玉においても淡水中より海水中で高いことが判明した。海水中ではCl^-の透過性が高まるにも関わらず,卵黄玉におけるCl^-濃度は一定に保たれていることから,卵黄嚢上皮に分布する塩類細胞が外部から流入するCl^-を能動的に排出していると考えられる。そこでCl^-を特異的に検出する銀染色によって卵黄嚢上皮におけるCl^-の排出部位を検索した。その結果,Na^+/K^-ATPase免疫活性を示す塩類細胞の頂端部にCl^-の反応が認められた。以上の結果は,卵黄玉においても生体の胚と同様に,卵黄嚢上皮塩類細胞が海水中におけるイオン排出部位として機能していること示すとともに,卵黄玉で生体の反応が再現されたことから,その実験系としての妥当性が検証された。さらに海水に移行した卵黄玉で発達する海水型塩類細胞において,鰓の塩類細胞と同様に、頂端膜にCFTR Cl^-チャンネルが、また側底膜にNa^+,K^+,Cl^-共輸送体(NKCC)がそれぞれ発現していることが免疫染色により明らかとなった。以上の結果より、卵黄玉の卵黄嚢上皮に分布する塩類細胞が生体の細胞と同様に機能的であると考えられる。また、胚体の内分泌系や神経系の影響を受けない卵黄玉でCFTRやNKCCを発現する海水型塩類細胞が出現することは、塩類細胞が環境水の変化を察知して自律的に機能分化することを示している。
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