配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2004年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2002年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
|
研究概要 |
(1)北太平洋におけるサケ属魚類のバイオマス動態予測 北太平洋に生息するサケ属魚類の成長パターンと摂餌生態を究明した。その結果,海洋分布域は種特異性を示し,サケ属魚類はイカ類をはじめ魚類,端脚類,十脚類および翼足類など多岐にわたる生物を摂餌する。餌生物の時空間変動に関するクラスター分析の結果,サケ属魚類は餌環境と種内間の競争関係に応じて獲得しやすい餌生物を摂食する日和見的な摂餌戦略を展開する。サケ属魚類のδ^<13>C-δ^<15>Nマップから,北太平洋生態系における栄養レベルは4段階と位置づけられ,種クラインを示す。また,新たな気候レジーム・シフトによる餌環境の変化が、サケ属魚類に卓越餌種の減少、餌ニッチ幅の増大、食物網における栄養段階の変化をもたらしていることなどが解明された。北太平洋に生息するサケ属魚類バイオマスの90%以上を占めるシロザケ、ベニザケおよびカラフトマスの環境収容力は長期的な気候変動とよくリンクし,環境収容力と実際のバイオマスとの差を残存環境収容力RCCとすると,北海道へ回帰するシロザケ親魚の体サイズはRCC2千万尾以下になると減少し、環境収容力と個体群密度効果とに密接な関係があることが示唆された。さらに,北太平洋におけるベニザケとシロザケのバイオマスはそれぞれ1980年代以降約2倍に増加したが、シロザケでは野生魚が0.7倍に減少し、孵化場魚のみが著しい増加を示した。この現象は孵化場による野生魚との置き換わりと見なされる。 (2)湖沼河川における生態系持続的保全のための魚類資源管理法 水圏生態系における魚類の持続的保護管理のあり方に関するシンポジウム「生態系保全と水産資源の持続的管理:可能性と展望」を2003年11月27〜28日に東京大学海洋研究所にて主催し,16題の研究発表と総合討論を行い,魚類資源保護管理には生態系をベースとした順応的管理としての順応性,説明責任および反証可能性に基づくモデリングとモニタリングによるフィードバック管理の重要性を提唱した。 (3)サケ属魚類による生態系の物質循環と生物多様性 アラスカのブリストル湾アレクナギック湖とイリアムナ湖で湖沼生態系を構成する生物の安定同位体比分析の結果、産卵回帰するベニザケが湖沼を含む湖畔林生態系の生物多様性と生産力の維持に貢献していることを明らかにした。
|