配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2004年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2003年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2002年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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研究概要 |
1.インフルエンザウイルス(IFV)が経神経伝播することの証明 マウスへの高病原性IFV経鼻接種により、IFVが気道粘膜で増殖後、主として迷走および交感神経を経由して延髄と胸髄へ侵入することが疑われた(Vet Microbiol, 2003)。迷走神経を片側性に切断したマウスにIFVを経鼻接種し、ウイルスが迷走神経を経由して脳幹へ到達することを証明した(Vet Pathol, 2004)。分画ディッシュで培養したマウス神経細胞の軸索末端にIFVを感染させ、IFVがin vitroでも経神経伝播すること、その軸索輸送が微小管を介した既知の輸送様式とは異なることを証明した(J Gen Virol, 2005). 2.IFVは持続感染するか? 経鼻接種によるマウスのインフルエンザ脳炎では、組織病変、ウイルス抗原および遺伝子は感染後48日まで遺残したが、ウイルスは回収できなかった(Vet Microbiol, 2003)。 3.IFV感染でライ症候群を実験的に再現できるか? 小児の急性脳症であるライ症候群はIFV感染と解熱剤投与に起因すると考えられているが、実験的証明はされていない。経鼻接種されたIFVは鶏では血行性に中枢神経系へ、マウスでは経神経性に中枢神経へ到達して脳炎を惹起するので、これらの脳炎モデルに対する解熱剤(アスピリン、ボルタレン)影響を検討し、解熱剤投与はIFVの経神経伝播(マウス)には影響を与えないが、血行性伝播(鶏)を著しく増強すること、ボルタレンがアスピリンに比べより顕著に増強することが分かった(J Vet Med Sci, 2004)。 4.鞘内免疫に関する研究 不活化IFVあるいはオーエスキーウイルス(AJV)をウサギおよびマウスの鞘内(脳内および脳脊髄液内)あるいは皮下に接種したところ、鞘内接種でのみ脳脊髄液中の抗体価が顕著に上昇した。そこで、不活化AJVで免疫したマウスの下腿部筋肉内にAJVを接種したところ、鞘内免疫によってのみ完全な防御効果が得られ、鞘内免疫には、(1)1回の免疫で高い血清抗体価が確実に得られる、(2)神経組織内に侵入したAJVに対しても有効である、ことが分かった。
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