配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
2002年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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研究概要 |
灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の宿主抵抗性打破に関与する多細胞型付着器の形成時に特異的に発現する遺伝子の単離をDifferential Display法を用いて試みた。付着器形成時に特異的に見られるバンドを単離してその塩基配列を決定し、その予想されるアミノ酸配列を用いて相同検索を行った結果、Threonyl-tRNA synthetase、Aspartic proteinase、Alpha-glucosidaseとの相同性がみられた。Aspartic proteinaseの阻害剤処理により発病低下が認められた。 B.cinereaにおけるヘテロ三量体型Gタンパク質αサブユニット(Gα)をコードする遺伝子,bcg1とbcg2のうち,bcg1が無性生長,プロテアーゼ分泌,病原性に関与していることが明らかとされている.そこで,我々は新たなGα遺伝子を単離するために,菌類のGα_s(菌類サブグループIII)遺伝子において保存されているアミノ酸配列からdegenerateプライマーを設計し,PCRによる増幅を試みた.得られた部分塩基配列は明らかにbcg1やbcg2と異なるものであり,M.griseaのMAGA等のホモログであることが確認された.inverse PCRによってこのGα遺伝子の全長をクローニングしたところ,本遺伝子は1342bpからなり,5つのイントロンによって分断されていることが明らかとなった.推定アミノ酸の数は355であり,その配列はC.parasiticaのcpg-2と78%,U.maydisのgpa3と68%,近縁種であるS.sclerotiorumのspg1とは95%相同性が認められた。 Botrytis属菌の形質転換系の確立するためにアグロバクテリウム法を検討した。バイナリーベクター内のT-DNA領域を、ハイグロマイシンB耐性遺伝子で置換した形質転換用ベクターを作製した.形質転換体は、このベクターを含むA.tumefaciens LBA4404の懸濁液と菌の懸濁液をそれぞれ適切な濃度に設定し、固形培地上で共存培養することにより得られた.その結果、B.tulipaeにおける形質転換効率は、分生胞子10^5あたり約10株であった.B.cinereaでは胞子10^6あたり約10株の効率で得られた.また、B.byssoidea、B.fabaeでも菌糸体の共存により形質転換体を得た.B.byssoideaでは50mgの菌糸体から29株の形質転換体が得られ、供試株の中では最大の効率となった.B.fabaeにおいても同じ条件で5株の形質転換体が得られたが、B.allii、B.aquamosaの2菌種では、以上の方法による形質転換体は得られなかった.現在、アグロバクテリウム法を用いて、単離したAspartic proteinase遺伝子及びGタンパク質αサブユニット遺伝子の破壊株を作出して、抵抗性打破との関連を解析している。
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