研究課題/領域番号 |
14370002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
近藤 尚武 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20004723)
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研究分担者 |
大和田 祐二 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20292211)
阪上 洋行 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90261528)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
2003年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
2002年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | 脂肪酸結合タンパク / 経表皮水分通過障壁 / ラディアルグリア / アストロサイト / 胸腺上皮細胞 / インターロイキン12 / 白脾髄樹状細胞 / 脂肪酸結合蛋白 / ラジアルグリア / E-FABP / B-FABP / H-FABP / 遺伝子欠損 / DHA / 記憶低下 |
研究概要 |
脂肪酸結合蛋白(FABP)のうちで、表皮型(E)-FABPの遺伝子欠損マウスの皮膚中の主たる脂肪酸の含量や表皮の電顕像および炎症に対する皮膚反応において野生型との相違を示さなかったが、表皮水分喪失量が野生型に比べて低く、アセトンによる経表皮水分通過障壁障害の後に経表皮水分喪失量の障害以前の値までの回復が、野生型に比べて遅れた。野生型マウスでの皮膚以外でのE-FABPの発現局在を調べた結果、脳では生後早期に大脳皮質の幼弱ニューロンに一過性に発現するが、成熟期には脳全体のアストロサイトに発現して加齢と共に若干減弱する。免疫系の胸腺では上皮細胞に、脾臓では白脾髄の樹状細胞に発現局在し、それらの細胞の特異標識になる故に、樹状細胞がlipopolysaccharide投与によるアポトーシスを起こしたリンパ球をin situで貪食することを初めて明確に出来た。一方、脳型(B)-FABPは発達期の脳のラデイアルグリアに強く発現し、生後成熟期に至るまで若干減弱するもののアストロサイトに局在した。脳以外では、肝臓クッパー細胞にのみ特異的に発現局在した。よって、E-FABPとB-FABP共に、脳での役割に加えて、免疫系での重要な機能を担うことが初めて明らかにされた。以上の所見を基に、自製のE-FABP遺伝子欠損マウスにおける免疫系のなんらかの異常を惹起しているかを解析した。分離樹状細胞においてインターロイキン12の分泌が減少していることが判明した。B-FABP(脳型)遺伝子欠損マウスの表現型としては、1)B-FABPがアストログリアに発現局在するにも拘らずニューロンでE-FABPの遺伝子発現の軽度亢進を示すこと、2)B-FABPに好んで結合するドコサヘキサエノイン酸(DHA)の脳内含量が有意に低下すること、および3)行動学的解析により学習と記憶が低下と不安増強を伴うこと、が明瞭に認められた。DHAの細胞内局在に直接関与するFABPの発現有無により、個体の学習記憶感情が影響されることを明示した今回の所見は、DHAの機能解明に大きな寄与をなすものと考えられる。
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