研究課題
基盤研究(B)
生体のエネルギー代謝では、グルコース、脂肪酸、およびアミノ酸の代謝がそれぞれの相互作用によりダイナミックに調節されている。そのバランスが狂ったり、調節の接点がずれたりすると、いわゆる生活習慣病を引き起こすと言える。多くの生活習慣病に共通して認められる現象に、インスリン感受性の低下による代謝異常があるが、糖尿病がその症状をもたらす筆頭に挙げることができるだろう。糖尿病は、その予備軍のヒトを含めると今や我が国で1千万人以上の数となり、日本の国民病になりつつある。そのため、インスリン感受性の改善薬の研究にはしのぎが削られているが、未だ根本的な治療薬はない。一方、運動はインスリン刺激とは別のメカニズムでグルコースの細胞内への取り込みを刺激し、グルコースばかりでなく脂肪酸やアミノ酸(特に分岐鎖アミノ酸)代謝を改善することが明らかにされつつある。運動のグルコース代謝に対する効果は、細胞膜へのグルコース輸送体(glucose transporter : Glut)-4を動員するメカニズムにより一部説明されているが、未だに不明の部分が多い状況である。今後、運動をより普及して生活習慣病を減少するためには、運動の効果を分子レベルで明らかにし、運動の効果を確立する必要がある。本研究では、ラットを実験動物として用い、運動と関係するグルコース代謝、分岐鎖アミノ酸代謝、および脂質代謝の基礎的な調節メカニズムを検討し、次の結果を得た。(1)グルコース代謝に焦点をあて、自然発症糖尿病ラットではピルビン酸脱水素酵素kinaseアイソザイム発現が糖尿病発症前から高かった、(2)分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素(branched-chain α-keto acid dehydrogenase : BCKDH)kinase活性は、脂肪酸代謝の促進により低下した、(3)BCKDH)kinase活性は、エストロゲンにより調節されている、(4)腫瘍壊死因子αは結合型BCKDH kinaseを低下して、分岐鎖アミノ酸代謝を促進した。
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