配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2002年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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研究概要 |
免疫刺激は,T細胞においてACh産生と遊離を促進し,さらにM_5 mAChR発現を増強すること,またB細胞についてもM_5 mAChR発現を増強することを発見した.これらの結果は,免疫刺激時にリンパ球コリン作動系活性が上昇する可能性を示唆するものである.すでに我々は,TおよびB細胞上のmAChRを刺激するとCa-シグナリングを誘発し,c-fos遺伝子発現増強を引き起こして,細胞機能を活性化することを発見している.これらの知見は,リンパ球上の,なかでも特にM_5mAChRが免疫機能の制御に関与している可能性を示唆するものである.その他に,薬理学的には,M_3mAChRもCa-シグナリング誘発やc-fos遺伝子発現増強に関与する可能性が示唆されている.リンパ球上のnAChRを刺激するとCa-シグナリングを誘発するが,短時間の刺激では耐性が生じてリンパ球機能に対する作用は明確ではなかった.in vitroにおける8週間に渡るニコチン刺激はα7サブユニットを始めとする様々なnAChR発現を減弱させ,同時にニコチンによるCa-シグナリングを強く抑制すること発見した.これらの知見は長期間のニコチン刺激が免疫機能に影響を及ぼす可能性を示唆するものである. 2004年9月にNobel Conference No.44-Inflammatory Reflexがストックホルムで開催され,川島は20名のシンポジストの一人として招待された.副交感神経系と免疫系との間にクロストークがあると広く考えられているが,副交感神経終末と免疫系細胞との直接的相互作用を支持する組織学的証拠は発見されていない.そこで,我々が発見したリンパ球コリン作動系の関与を考えた方が,これまでの観察結果をより論理的に説明できることを講演した.
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