研究課題/領域番号 |
14370059
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
吉川 潮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (40150354)
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研究分担者 |
松崎 秀紀 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (80335463)
山本 利義 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (00324939)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2003年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2002年度: 10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
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キーワード | 蛋白質リン酸化酵素 / PKB / 細胞増殖因子 / 熱ショック / 転写因子 / AFX / 細胞死 / Hsp27 / ストレス刺激 / リン酸化部位特異的抗体 |
研究概要 |
PKBはPHドメインを有する蛋白質リン酸化酵素であり、PI3-キナーゼの下流標的として細胞増殖因子のシグナルを伝達することが知られている。また、フォークヘッド転写因子AFXはPKBによる恒常的なリン酸化により細胞質に局在し、脱リン酸化により核へ移行し転写反応を介して細胞死を促進すると考えられている。そこで、AFXのPKBにより認識されると予想される3カ所の部位(Thr32、Ser197、Ser262)の点変異体ならびにリン酸化部位特異的抗体を用いた解析し、これらのうちの2カ所は細胞内でリン酸化を受けており、ことにSer197は細胞増殖因子の除去により速やかに脱リン酸化を受けることが明かとなった。一方、PKBが熱ショックをはじめとするストレスシグナルによって活性化を受けることから、細胞増殖因子および熱ショックによるPKBの活性化機構を比較解析した。その結果、熱ショックはPI3-キナーゼを介さずにPKBを活性型に変換し、その分子機構として細胞増殖因子刺激により誘導されるPKB分子内のリン酸化反応を必要としないことを明らかにした。また、PKBは細胞増殖因子刺激によりそのPHドメインを介して細胞質から細胞膜に移行することが報告されているが、これに対して熱ショックは低分子量シャペロンHsp27との会合を介してPKBの核周囲への集積をもたらすことが明らかになった。従って、PKBは異なる分子機構により活性制御を受け、AFXの核移行を防止することにより細胞死を抑制していると考えられる。なお、並行して実施した解析によりPKBと高い相同性を示すPKCがストレスシグナルにより活性型に変換され、脂質代謝酵素の制御を介して細胞死を制御していることが明かとなった。今後、ストレスシグナルにより誘導される細胞死において、複数の分子機構により活性制御を受けるPKBとPKCの具体的作用の検討が必要である。
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