研究概要 |
1)ホジキン病とALCL : H-RS細胞の構成的NF-kB活性化が過剰発現CD30のリガンド非依存的シグナル伝達によること、その阻害によりアポトーシスが誘導されること(Horie et al. Oncogene 21,2493,2002)、H-RS細胞内ではTRAFタンパク質のシグナル依存的凝集が認められ、そこにIKK, NIK, IkBa等のシグナル伝達分子が局在することを明らかにして報告した(Am J Pathol 160,1647,2002)。更に、CD30のプロモーター内のマイクロサテライトの近傍にあるAP-1結合配列が、JunBを介して、マイクロサテライト配列の転写抑制活性に拮抗する事(Am J Pathol,163,633,2003)、H-RS細胞と同様にCD30過剰発現がみられるALCL細胞では、全くNF-kBの活性化が見られない。CD30シグナル伝達阻害にp80NpM-ALKが関与していること、その機構が、シャペロン分子であるNPMをリン酸化し、そのキナーゼ活性依存的にTRAF蛋白質とCD30の会合を阻害してNF-kBの活性化を抑制する事を見いだした(Horie et al., Cancer Cell 5,353,2004)。これらの結果は、CD30過剰発現の見られるT細胞性リンパ腫の新たな分類をもたらすものである。 2)ATL : ATL細胞は、HTLV-1感染Tリンパ球が多段階発癌機構を介して腫瘍化したものと考えられる。この腫瘍化に関わるgenetic eventの実態を明らかにするため包括的なにアレイ解析を行った。クラスター解析の結果、ATLに特異的な遺伝子が67個、キャリアー末梢血活性化Tリンパ球特異的遺伝子が44個、HTLV-1感染細胞株特異的遺伝子が24個、それぞれ同定されている(特許申請準備中、投稿準備中)。これらの情報に基づき、ATL発症の早期診断の系の開発を準備中である。
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