研究課題/領域番号 |
14370086
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
善本 知広 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (60241171)
|
研究分担者 |
中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
筒井 ひろ子 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (40236914)
安田 好文 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50333539)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2003年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
2002年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
|
キーワード | IL-18 / 寄生虫感染 / ヴェネズエラ糞線虫 / 粘膜型肥満細胞 / Th2サイトカイン / host defense |
研究概要 |
【緒言】寄生虫は単細胞性の原虫と、線虫、吸虫、条虫などの多細胞性の蠕虫とに区別される。一般に、蠕虫に感染するとTh2細胞優位な免疫応答が誘導され、1)IgE、2)好酸球、3)肥満細胞が増加することで蠕虫排除を促進することが知られている。このうち腸管寄生線虫の排虫メカニズムの1つとして、Th2サイトカイン(IL-3,IL-4あるいはIL-9)の作用で小腸上皮細胞に集積、活性化された粘膜型肥満細胞(mucosal mast cell : MMC)が放出するコンドロイチン硫酸が、粘膜への虫体の接着侵入を阻止する機構が明らかにされている。 【目的】IL-18はIL-2の共存下でT細胞を、IL-3の共存下で好塩基球と肥満細胞を刺激して、Th2サイトカイン(IL-4,IL-9,IL-13)の産生を誘導し、アレルギー性炎症を増強する。そこで、我々はIL-18の生体内投与による小腸粘膜におけるMMCの誘導と、線虫に対する防御作用(排虫促進能)を検討した。 【結果】(1)IL-18とIL-2をそれぞれ単独、または同時に14日間C57BL/6マウスに腹腔内投与すると、IL-18+IL-2によって血清中のIL-3,IL-4,IL-13産生は著明に増加した。(2)IL-18の投与量に依存して上部小腸上皮のMMCの集積とMMCの活性化の指標となる血清mouse mast cell protease-1(MMCP-1)値の増加が認められた。(3)CD4^+T細胞を除去した野生型マウス(wt)とT細胞とB細胞を欠損するRag2KOではIL-18+IL-2によるMMCの集積とmMCP-1値の増加は認められなかった。一方IL-4,IL-13の細胞内シグナル伝達に必須のSTAT6を欠損したマウスSTAT6KOはwtと同様のMMCの集積とmMCP-1値の増加が認められた。(4)IL-3又はIL-9単独生体内投与ではMMCの増加を認めないが、IL-3+IL-9同時投与によって増加を認めた。しかしIL-18+IL-2によって誘導されるそれの約1/10と低値であった。(5)IL-18+IL-2を前投与したコントロールマウスではMMCが誘導され、Sv成虫の接着侵入が著しく阻害されていた。しかし、マスト細胞を欠損するW/W^VではMMCは誘導されずSv成虫は排虫されなかった。(6)Sv幼虫(L3)感染wtは経時的に血清IL-18産生が増加した。(7)IL-18欠損マウス(IL-18KO)はwtに比較して感染後7日目におけるmMCP-1値は低値を示し、排虫が遅れた(wt:12日;IL-18KO:16日)。(7)SvL3感染STAT6KOはTh2反応を誘導できないが、血清IL-18産生の増加とMMC誘導が認められ、最終的には感染後24日目にSvを排虫した。 【考察】IL-18の生体内投与は機能的なMMCを誘導する事によって線虫感染防御に働くことが明らかになった。その機序はIL-18+IL-2によってCD4^+T細胞から産生されるIL-3/IL-9とそれ以外の因子(おそらくSCFとTGF-β)がMMCの誘導に関与することが示唆された。更に自然感染においても、内因性IL-18はstat6非依存的にMMCを誘導しSv感染防御機構に関与していることが明らかとなった。
|