研究課題
基盤研究(B)
ボルナ病ウイルス(BDV)は向神経性のマイナス鎖一本鎖のRNAウイルスで、ウマやヒツジにおいて脳炎を引き起こす。また、ヒトにおいても抗BDV抗体が、特に精神疾患患者において認められる場合があるという疫学的研究結果が報告されており、さらに、このような抗体陽性例の精神疾患患者の剖検脳内にBDVシグナルが検出される例があることが報告されている。本研究では、BDVの病原性のメカニズムを動物レベル、細胞レベルならびに分子レベルで解析し、BDV持続感染による中枢神経系病態の発症機序を明らかにすることを目的としている。神経系の培養細胞を用いた研究から、BDVのp24リン酸化(P)蛋白質と宿主多機能因子であるHMGB1(amphoterin)との相互作用が認められること、この相互作用からHMGB1の機能(神経突起伸長能など)が阻害されること、さらに熱ショックなどのストレスに対する宿主細胞応答能が顕著に低下していることが明らかになった。また、BDV持続感染ラットにおいて、BDVの脳内持続感染状態下でストレス(LPS腹腔内投与)刺激で神経症状が出現すること、さらにBDVP蛋白質が脳内で発現するトランスジェニックマウスを作出したところ、攻撃性の上昇、学習能力の低下が認められることが明らかになった。このトランスジェニックマウス脳内では、神経栄養因子(BDNF)、シナプス数、セロトニンリセプター(5-HTR_<1A>および5-HTR_<1b>)などの低下が認められた。このように、さまざまなモデル系を用いることにより、BDVの脳内持続感染が中枢神経系病態を引き起こすことが明らかになった。
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