研究概要 |
ヒトヘルパーT細胞の分化とTxkの発現との関連を検討した。各種サイトカインがTxk発現に与える影響をJurkat細胞を用いて調べた。Th1型細胞の分化に関与するIL-12、IL-18、IFN-γ、およびTh2型サイトカインであるIL-4、IL-10、IL-13と共に培養した。Jurkat細胞にIL-12,IFN-γ,IL-18を加わえるとTxkの発現は増加し、IL-4,IL-13を添加するとTxk発現は減少した。Txkプロモータールシフエラーゼプラスミドを作成し、これをJurkat細胞に導入しその発現調節機構を解析した。Txkプロモーター領域にはSTAT-4やSTAT-6の結合領域が複数存在し、それらが上記のサイトカイン刺激に反応して、Txk遺伝子転写をポジティブ・ネガティブに調節することが示された即ちTxkはヘルパーT前駆細胞がTh1細胞に分化するのに伴い発現され、Th1/T1、2型細胞の分化誘導はTxk遺伝子転写、蛋白発現と並行した。 Th2細胞機能過剰が病態形成に関わる気管支喘息、花粉症およびアトピー性皮膚炎ではTxk発現が低下していた。Txk発現を増強させることで上記疾患のサイトカインバランスの異常や免疫異常を改善できる可能性がある。そこで正常マウスにtxk発現ベクターを投与しその影響を観察した。txk投与ではコントロールベクター投与に比べて脾細胞によるIFN-γ産生は明らかに亢進した。さらに血中のIgEを減少させることが可能であった。この成績はtxk遺伝子投与がin vivoにおいてもTh1細胞を誘導し、IgE減少をもたらすことから、txk遺伝子治療の可能性を示している。
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