研究概要 |
1,CD46リガンドの発現の安定性を遺伝子(mRNA)および蛋白レベルで解析した。膠原病患者としては自己免疫性ループス腎炎(SLE)患者(9例)の末梢血単核球から磁気ビーズを用いてCD4陽性T細胞を分離して実験に用いた。対象としては健常人末梢血由来CD4T細胞(4例)を用いた。刺激はPMAとイオノマイシンを用いて6時間から96時間経時的に刺激してmRNA発現をNorther Blot Assayで、蛋白の発現はFACSおよびELISA法で解析した。その結果いずれのSLE由来T細胞も未刺激状態でCD40リガンドmRNAの高発現が確認された。このT細胞を刺激し細胞表面上の発現を確認した結果、SLE患者由来T細胞は長時間CD40リガンド蛋白の発現が持続することが明らかとなった。2,遺伝子発現の安定性を規定する停止コドンより下流の領域にAUリッチドメインが存在するがSLE患者、健常人ともにこの領域の遺伝子変異は認められなかった。このCD40リガンド発現はサリドマイド誘導体(フタルイミド誘導体)の低濃度添加(nM)で抑制されることが明らかとなり治療薬としての可能性があると考えられた。3,またSLE患者由来T細胞を抗原刺激なしで4日間培養後、再刺激をした結果、健常人由来T細胞とのCD40リガンドの発現には差が認められなかった。この結果はSLE患者では恒常的に何らかの抗原刺激を受けていることによりCD40リガンドの発現が安定しているものと考えられた。4,SLE患者血清中で高値を示している可溶化CD40リガンドは血漿交換カラムを通過することにより吸着されることから、可溶化CD40リガンドは他の分子と結合し高分子複合体として存在することだ示唆され、血漿李換がCD40リガンド値を低下させる方法の一つとして有用であると示唆された。
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