研究概要 |
抗菌蛋白は,自然免疫の重要な構成要素の一つである.ElafinとSLPIは,抗菌活性とプロテアーゼ阻害活性の両方を有するWAPモチーフ蛋白で,それらの自然免疫における役割は,積極的に検討されている.我々は,マウスの新たなWAPモチーフ蛋白SWAM1,SWAM2をクローニングした.SWAM1とSWAM2は,シグナル配列と一つのWAPモチーフからなる蛋白で,elafinおよびSLPIと高い相同性を有していた.SWAM1は腎,上皮小体で定常的に発現しており,肺炎肺では発現が誘導された.SWAM2は舌で定常的に発現していた.SWAM1とSWAM2は大腸菌,Staphylococcus aureusの増殖を10μMのIC90で阻害した.ヒトの相同遺伝子はLOC149709およびhuWAP2と考えられ,これらは他のWAP蛋白(WAP1,elafin, SLPI, HE4,eppin, C20orf170,LOC164237,WFDC3)と染色体20番上にクラスターをなして存在していた.これらの遺伝子は,共通の先祖遺伝子が重複して発生したと想像される.我々の研究は,WAPモチーフが抗菌蛋白形成の重要な骨格であることを示しており,他のWAPモチーフ蛋白も抗菌活性があるかどうか検索する必要があることを示している.
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