研究概要 |
サルコイドーシス(サ症)は原因不明の全身性肉芽腫疾患で、疾患感受性のある宿主が環境中の何らかの原因微生物や抗原物質(起因体)に暴露されて発症するものと想定されている。P.acensはサ症病変部から培養可能な唯一の微生物で、今回の国際共同研究(Eishi et al.,J Clin Microbiol,2002)により日本人だけでなく欧米諸国のサ毎患者病変部から本菌DNAが高率・多量に検出された。また、本症患者の肺胞洗浄液細胞からも本菌DNAが高率に検出された(Hiramatsu et al.,Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis,2003)。さらにPCR法にて検出されるP.acens DNAは肉芽腫内に集積して存在することもCARD法を用いた高感度ISH法による病理組織学的な研究(Yamada et al.,J Pathol,2002)により明らかとなり、本菌がサ症肉芽腫形成の原因微生物である可能性が高い。本菌由来のトリガーファクター蛋白は、慢性安定期にあるサ症患者の約2割で患者特異的な細胞性免疫反応を誘導可能であり、これをアジュバントとともにマウスに皮下免疫することで実験的に肺肉芽腫症を誘導することも可能であること(Minami et al.,J Med Dent Sci,2003)から、P.acens抗原に対して遅延型アレルギー素因を有する患者が、病変部局所で常在あるいは異常増菌するアクネ菌を起因体として発症している可能性がある(Eishi et al.,Acta Histochem Cytocehm,2003)。
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