研究課題/領域番号 |
14370219
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
南野 徹 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (90328063)
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研究分担者 |
小室 一成 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30260483)
高野 博之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (60334190)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
2004年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2003年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 細胞老化 / 血管老化 / テロメア / Ras / アンジオテンシンII / インスリン / Akt / p53 / p21 / 動脈硬化 / 動脈瘤 / 糖尿病 |
研究概要 |
我々はヒトから得られた動脈サンプルを検討し、非動脈硬化巣では老化細胞を認めないのに対し、動脈硬化病変においては老化した血管細胞を認めることをはじめて明らかにした。またこれらの老化細胞では血管細胞機能障害の形質を示していたことから細胞レベルでの老化が血管老化・動脈硬化の新たなメカニズムの一つであると考えられた。そのメカニズムを検討するため、我々は当初、テロメア、テロメレースに注目し研究を進めた。その結果、テロメア機能不全による血管細胞老化とそれに伴う細胞機能障害が動脈硬化の病態生理に深く関与しており、細胞老化抑制による血管老化治療の可能性を示唆した。さらに我々は、動脈硬化巣における細胞老化のメカニズムとしてテロメア短縮だけでなく過剰な増殖シグナルによるRas/ERKの活性化も関与し、それらによるサイトカインの誘導が炎症の亢進やプラークの不安定化に重要であることを観察している。アンジオテンシンIIはRas/ERKを活性化し、様々な血管疾患に関与していることが知られている。本研究において我々は、アンジオテンシンIIにより血管細胞の老化が促進され動脈硬化が進展すること、老化シグナル制御によりその効果が抑制されることなどを観察した。酵母・線虫ではインスリン・Aktシグナルの低下により寿命が延長するが、ヒトの老化に対する作用は明らかではなかった。これに対して我々は、インスリン・Aktシグナルがヒト血管内皮細胞の寿命をnegativeに調節していることを世界で初めて明らかにした。インスリン・Aktシグナルによって老化した血管内皮細胞は様々な機能障害の形質を示したこと、糖尿病患者の動脈硬化巣や糖尿病マウスの血管において老化した血管細胞が多数存在し、それらの細胞でのAkt活性が上昇していたことから、糖尿病はインスリン・Aktシグナルの過剰な活性化によって生じる一種の早老症候群であると言える。以上のように、細胞レベルの老化の促進が血管の老化の病態生理に関与しており、老化シグナルの制御は、今後新たな血管治療のストラテジーとなりうると考えられた。
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